IoT活用でエネルギー効率向上!電気・水道使用量の最適化に成功した省エネ事例

最近、電気代と水道代が高くて困っているんですが、大きなお金がかかる設備の更新はできないんですよね。もっと手軽にできる節約方法はありませんか?

請求書を確認しても「高額!」と感じてしまう電気代と水道代に対する具体的な対策がわからないという方も多いでしょう。

今回は、簡単な気づきによって電気代と水道代を大幅削減できた事例を詳しくご紹介します。

これからご紹介する事例は、電気メッキ業界で電気代と水道代の高騰に頭を悩ませていたあるお客様が実際に成功させたコスト削減の実例です。

目次
  • 毎月の電気と水道の使用量が多く高額な請求に困っている
  • 請求書だけでは無駄の原因が特定できない
  • 調査のために手間をかける余裕がない

設備の使い方を見直すことで節約ポイントを見つけ、電気代と水道代を削減できる事例を詳しく解説します。

エネルギー節約方法をお探しの方は要チェック!

まずは電気代の削減事例からご紹介していきます。

本来稼働が必要な時間のみの換気設備が、工場新築時から全台数を常時運用していました。
対策として、夜間や休日の不要な換気設備を停止し、換気量制御機能を追加しました。

ワイヤレスIoTクラウドロガー」を導入し、メッキラインのエネルギー分析中に、夜間・休日の工場全体電力デマンドで大きな消費が発覚し、調査の結果、天井ファンが新築時から常時稼働していることが判明。常に動いていることを誰も疑問に思わず、無駄を見落としていました。

換気ファンの運転必要性を再評価し、夜間・休日運用停止。さらにインバーター制御で回転数調整を実施し、1台あたりの消費電力低減と日中の電力節約を実現しました。

天井ファン

工場が停止する日曜日の待機電力で比較すると対策前が約3800kwh/日に対し、対策後は約2800kWh/日となり、1日あたり約1000kWhの電力削減をすることができました。

工場全体の電力グラフ
工場全体の電力グラフ

不要ファン停止とインバーターによる回転数低下により、必要換気量を確保しつつ夜間・日中ともに消費電力を低減できました。
電気代に換算すると年間910万円を削減することができました。

(電気単価20円/kWhで計算。 (1000kWh削減/日 x 365日) x 25円/kWh = 年間9,125,000円の電気料金を削減)

消費電力が大きい設備は省エネ対策済みと思いがちですが、換気ファンは対象から漏れていました。
先入観なく工場全体を俯瞰して電力見直しをしたのが良かったですね。

そうですね。換気ファンがどれだけ電気を使っているかなんて気に留めたことは無かったです。
当社の工場にも同じような無駄があるのかも…怖くなってきました。

今回はIoTシステムのおかげで発見できましたが、まずは稼働の総点検をしてみましょう!

こちらもワイヤレスIoTクラウドロガーの計測で無駄に気づいた事例です。電力の事例と同じく、心当たりのない水の消費を見つけて対策した事例です。

一部の設備は夜間休日も自動運転で稼働していました。稼働台数が減る夜間休日は日中に比べて水の使用量が下がるはずですが、数台稼働とは思えない大量の工業用水が消費されていました。しかし夜間は人がいないためはっきりした原因がわからず、高額な水道料金に頭を悩ませていました。

ワイヤレスIoTクラウドロガーで工業用水の給水流量を監視したところ、夜間休日に稼働中設備が大量の水を消費している記録がありました。問題のある設備に絞って分析の結果、工業用水の圧力差が原因で流量が変化していることが判明しました。水を工場全体で大量に使用する日中は、水圧が低下し設備へ供給する流量が落ちていますが、稼働台数の減った夜間は水の使用量が減ったことで水圧が上昇、一部の設備から勢いよく水が流れ出したことで、想定以上の水が消費されていることが分かりました。(水は圧力が上がると流量もあがります=ベルヌーイの定理)

水圧で流量も変わってしまうバルブ開度による流量調整をあらため、定量弁の導入により圧力によらず流量が一定となる調整に変更しました。
定量弁によって水圧があがったときに大量の水が流れる状態を解消できました。

対策前が1日あたり100~120㎥の消費に対し、対策後は40~50㎥となり、水の使用量を50%以上削減できました。

ある1ラインの水流量のグラフ
ある1ラインの水流量のグラフ

定量弁の追加対策によって生産に支障を出さずに1ラインあたり水道代を年間42万円の削減をすることができました。

(水道単価 35円/1㎥、1ライン50㎥削減/日で計算。 (50㎥削減 x 20日 x 12か月) x 35円/1㎥ = 年間420,000円の削減)

そんな原因があったのですね!
言われてみると家のトイレを流すと蛇口の水の勢いがおちる、そういった現象と同じですね。

夜間と休日は人が見ていないので、水の勢いの変化まで気づけなかったようですね。
具体的な無駄になっている量と金額がわかったので、対策コスト申請がスムーズに承認されたとお客様からお聞きしています。これも現状を把握したことのメリットですね。

工場全体のエネルギー消費を見やすく記録

今回の2つの事例では、ワイヤレスIoTクラウドロガーによって工場全体の電力と水の使用量を計測していたため、エネルギー消費を俯瞰的に分析して無駄を見つけることができました。

設備単体や一定期間だけの計測では、今回のように想定外の無駄を見つけるのは難しかったでしょう。

ワイヤレスIoTクラウドロガーでは、工場全体の電力デマンド、水道使用量、ガス使用量などを常時計測し、クラウド画面で結果を確認できます。今回の事例では、複数のライン毎に「電力、水、蒸気」の使用量も同時計測しており、工場全体とライン毎の消費量を対比させて「ラインが消費していない無駄な消費」を見つけて削減対策することができました。

対策前後を比較、削減量が明確になり改善モチベーションもアップ

グラフは1日、5分、30分単位をクリックで切り替えできるので簡単に比較分析が可能です。積み上げグラフ表示を「無駄が大きなところ」を直感的に見つけることが可能です。

対策前後を比較しての削減量を明確に把握でき、具体的な削減金額を算定できます。対策コストと削減金額の正当性を示すことで今後の改善取り組みのモチベーションアップにつながります。

先入観にとらわれずに、IoT技術を活用して工場全体の複数ポイントのエネルギー消費を同時計測することが重要です。今回の事例では、電気代と水道代の削減により、クラウドロガー導入費は1年足らずで回収できました。

代表的なグラフ画面(積み上げ)
代表的なグラフ画面(積み上げ)
代表的なグラフ画面(積み上げ)

エネルギーの上流側、つまり消費が多いほうから優先して計測するといいですね。

ついつい設備側に問題があると決めつけて小さなところを測ってしまいます。
大きな無駄を見つけたほうが削減量も大きくなるわけですね、なるほど。

IoTで計測しておけば、見えないところで発生するトラブルに素早く気づけて無駄が減らせます。ここからは、豊安工業がエネルギー消費対策のお手伝いをさせていただく際の流れをご紹介しますね!

最後に、紹介した内容をおさらいしましょう!

1.IoTを導入

ワイヤレスIoTクラウドロガーによって工場全体の電力、水道の使用量を把握します。

2.クラウドで分析

計測データを分析しておかしなところが無いか探します。まずは休日や夜間など状況が変化するポイントを重点的に分析して、原因を探りましょう。

3.対策を実施

無駄の原因に応じた対策をします。対策工事が必要なら、豊安工業で手配可能です。

ワイヤレスIoTクラウドロガーを導入すれば、分析初心者の方でもグラフを見るだけで無駄な箇所を把握、削減できるようになります。分析にかかる時間が短くなり、削減対策までの時間も短縮できます。

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一見初期コストが高額にみえても削減効果が大きければあっという間にコスト回収ができます。今回紹介した事例の場合だと導入コストを1年足らずで回収できました。高額な電気代と水道代にお悩みの方は、IoT導入をご検討ください。

システム導入のお問合せやお見積り依頼はお気軽にどうぞ!

この記事を監修した人

岩田 吉弘

岩田 吉弘

豊安工業株式会社 設計部システム室
資格:第二種情報処理技術者試験、初級システムアドミニストレータ試験
得意分野:IT関連

2012年より遠隔監視システムの導入工事を通じてIoTによる工場管理システムの可能性を発見。2019年からは工場向けIoTソリューションの開発を担当するプロジェクトマネージャーとなり、自動車関連の中小企業の工場の運用を効率化することに貢献している。