工場設備を見まわったり、手書きで計器の記録をつけたりしていませんか?
IoT(モノのインターネット)を導入すると、遠隔での監視で結果をクラウドに自動記録できるので、見える化しながら予知保全の負担を減らせますよ。
IoTで現場の負担が減らせるなら、と思って、展示会に行ったり、資料を取り寄せたりしたんですが、専門用語ばかりで全く理解できないし、かえって使う人たちの負担になりそうなので、困っています。
専門用語につまづいてしまうお気持ち、よく分かります。
でも、あきらめてしまうのはもったいない!
IoTにはびっくりするくらい簡単なものもあるんですよ。最初から全部やろうとせず、小さく始めることが工場IoTの第一歩です。
あなたの工場、こんなことはありませんか?
IoT導入チェックリスト
このような課題があれば、IoTの導入を検討してみましょう。
- 設備監視するところが多すぎる…
- 設備があるところが暑かったり、出入りが大変だったりするので行きたくない…
- 設備監視に行くたびに作業を止めるので、効率が悪くストレスに…
- 設備が止まると困るので、張り付いて監視している…
- 日常点検表を惰性で書いていて、きちんと計測器や設備を見ていない…
- 紙の日常点検データをパソコンに入力していて二度手間…
- 日常点検表の紙を紛失したり、保管場所に困る…
簡単なIoTが効果につながる!
6つの効率化で工場の課題を撃退
1. 無人化
- 設備の稼働状況が離れた場所からもわかると仕事を止めなくてもいい
- アラートが出たら教えてくれる
2. 省人化
- 手書きやパソコンへの入力は人件費のムダ
- 設備の定期監視を人間に代わってIoTがやってくれる
3. ペーパーレス化
- 紙の保管はスペースのムダ
- 過去の記録を紙で見ようと思っても大変
- 紙を減らすと経費削減やエコにもなる
4. 見える化
- パソコンに記録が自動的に残るから楽
- 記録をすぐに取り出せる
- 自動的にグラフなどで表示してくれる
5. デジタル化・DX推進
- カメラ設置などでアナログな機械にも対応可能
- 一度慣れてしまえばデジタル化の糸口に
将来的にはDX推進につなげていく
6. 予知保全
- 計測データから不具合や故障の予兆を事前に発見
- トラブルを未然に防ぎ、生産ラインや設備の稼働を停止しない
IoTというと、最新のセンサーを購入したり、生産・品質管理システムなどと連動したりと、とても大げさなものだと思っていましたが、そういうわけでもないのですね。
設備の状態をカメラやセンサーで記録し、パソコンやスマートフォン、スマートウォッチに送信するなども、立派なIoT。シンプルな仕組みなので、初心者にも始めやすく、効果も出やすいのです。
工場ペディア編集部が選ぶ、簡単で始めやすいIoT3選
ここからは、工場ペディア編集部が厳選した、簡単に始められ、初心者にもおすすめのIoTを紹介します。
アナログメーターの数値をオンラインで確認
IoTカメラで点検工数を減らして効率化
とにかく楽に、安全に!
遠隔でメーターを自動撮影して監視
現場のアナログメーター確認は、人がその場に直接行って確認をする必要がありましたが、IoTカメラを設置すれば、オンラインでメーター撮影データを確認できるため、これまでのようにメーター確認のためだけに足を運ぶ必要がなくなります。
高所タンクなどの危険場所への設置や、ストロボ搭載・防水仕様により、夜間や暗所での使用、屋外への設置も可能です。
異常な値はメールでお知らせ
アプリ不要でいつでもどこでも
メーターの許容値を設定しておけば、撮影した瞬間に許容値を超えていたら、すぐにメールアラートでお知らせ。
メーターを見ていなかったせいでしばらく異常に気づかなかった、ということもなくなるなど、予知保全活動にもなります。
専用のソフトは不要。タブレットやスマートフォン、パソコンなどからクラウドにアクセスするだけで、すぐにアナログメーターの値を確認することができます。
電源不要、ネットワーク工事不要
その日から使えるIoT
IoTカメラには大容量バッテリーが搭載されているので、電源がない場所にも設置可能です。1日3回自動撮影なら最大約3年と、頻繁に充電する手間が省けます。
携帯電話と同じLTE、または、Bluetoothを低電力・低消費化したBLEのいずれかで通信できるため、その日からすぐに使うことができます。
様々なアナログメーター読み取りに対応
コスト削減も効率化も
円型、矩形型、ナナセグ型、カウンタ型、レベル型、フロート型など、様々な既設のアナログメーターの読み取りに対応。しかも一台で複数のメーターを読み取りできるので、設備投資コストを抑えられます。
クラウド上で自動的に数値化・グラフ化してくれるため、省人化や見える化にもつながります。
ポンプ、ファン、モーター、コンプレッサーなどに
振動・温度を監視し運転状態をモニタリング
回転機器の日常点検を自動化して時間短縮に!
ポンプをはじめ、ファン、モーター、コンプレッサーなどの回転機器は、工場プラント設備にはなくてはならない機器。故障すると即生産停止につながるため、定期的な点検を行いたいところですが、手間も時間もかかります。
回転機器用のIoTを活用すれば、日常点検の自動化にもつながるため、手間も点検時間も削減できます。
故障の予兆を正確に察知
回転機器は、気づきにくい些細な変化が故障の予兆になっていることもあり、後々思わぬトラブルを生むことも。
異常振動・異音・高温などは、潤滑油不足や金属摩耗、軸受損傷・共振、経年劣化などが進んでいる証拠かもしれません。
IoTによる回転機器の自動点検は、ヒューマンエラーを起こさず、小さな変化も見逃さないため、高い精度で行うことができます。
取り付け楽々
複数台の情報もスマホで手軽に情報収集
取り付け方はいたってシンプル。計測したい場所にパテかネジで固定するだけです。
バッテリー式なので、電気工事や配線工事が不要。すぐに振動データ計測をスタートできます。
アプリが入ったスマホが一台あれば、複数台のデータを一括で取得~データ確認まで完結。Bluetoothで約20m離れても通信できるので、安全な位置からデータを取得することができます。
故障の予兆を早期発見
予知保全の実現
収集したデータは自動でグラフ化され、詳細な傾向把握ができます。
これを活用し、異常の早期発見、定期点検タイミングの把握、グリスアップや消耗部品の交換時期の見直し、故障によるトラブルを未然に防ぐといった「壊れるまえに気づく・対処する=予知保全」を実現します。
機器を良い状態に保ち、長く使うためにも、IoTは有効なツールです。
配管に挟むだけの流量計×IoT
アナログ信号出力を読む「かんたんIoT」
配管の切断や溶接不要
ドライバーで取り付ける流量計
配管の外から取り付けるクランプオン式の流量計があることをご存じでしたか?配管の工事が不要、ドライバー1本で取り付けられるので、接合部のリークや取り付け時の稼働装置ストップを気にする必要がありません。
配管内に何かつけるわけではないため、内部の状態が変化せず、圧力損失ゼロで利用できるのもメリットです。
流量計の取得データはIoTでクラウドへ
工場流量を一元管理
流量計本体に流量管理に必要な機能が備わっていても、台数が増えると見に行くのは手間。そんなときにIoTが効力を発揮します。
流量計と同様に後付けができるので、手動点検をやめたい箇所から優先的にIoTを設置し、クラウドにデータを送るなども可能に。
流量計×IoTは、手軽に始められるにも関わらず、工場の流量を一元管理するスマートファクトリー化への第一歩にもなります。
アナログ信号出力だけでIoT化!?
この「かんたんIoT」は、アナログ信号出力付きのセンサー・測定器と接続可能。つまり、ほとんどの工場設備がIoT化できるんです。
計測対象の例
- コンプレッサーのエアー流量、エアー圧力の低下監視
- ボイラー給水量や燃料(重油・ガス)の消費量
- 水などの流体流量
- 生産設備の表面温度、内部温度
- 蒸気配管の圧力、温度
- 室温、気温、水温
- 水位、濃度、レベル
センサーの値をクラウドへ自動記録するメリット
アナログ信号センサーは、メーターとは違って人間の目では読むことはできません。ところが、IoTを使えばクラウド上に自動で数値化・グラフ化されるため、読むことができるようになるのです。
万が一トラブルが発生したときでも、クラウドにある計測値のログ(記録)をさかのぼって確認できるので、あとから不具合の原因分析を行うことも容易です。
これまでできなかったことを実現してくれ、安定的な生産計画の一助となるのは、IoT最大のメリットなのではないでしょうか。
監視カメラみたいなものもIoTに入るんですね。こういうものからならできるかもしれないし、メリットも大きいですね。
だけど設定や画面操作が難しいのでは?
設定は自力でできるものもありますが、専門業者に相談しながら進めた方が確実です。
ここで紹介したIoTは、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットにも対応しており、画面操作も簡単。わかりやすいのでストレスにならず、時間も短縮できますよ。
よくある質問
今回紹介した「かんたんIoT」や、A/Dコンバータなどを使ってアナログ信号出力を検知すれば、古い設備でもIoT化できる場合があります。
専用パソコンを用意する必要はありません。クラウドのデータを見るときも、いつも使っているパソコンやスマホ、タブレットからでOKです。
IoTはパソコンを使わずにLTE通信などでクラウドサーバーにデータを保存する方法が主流です。基幹LANを経由してインターネット網につなぐような場合にサーバーやルーターのような設備が必要になります。詳しくはお問い合わせください。
いいえ。Wi-Fi以外にも、LTE(4G)や5Gなどのセルラー通信、周波数920MHz帯の無線通信、Bluetooth通信などができるものがあり、設置場所に最適な機器を選ぶことができます。詳しくはお問い合わせください。
現場で使えるIoTが、何となくイメージできてきましたか?
もし、まだご不安であれば、展示会やショールームなどで実機や画面操作を体験してみるといいでしょう。
IoT体験ができるショールーム(入場無料)
IoTで何ができる?まずは体験してみませんか?
豊安工業には、ショールームがあり、実際に「かんたんIoT」などの実機に触れてみることができます。機器が設備や配管に設置されているところを確認したり、画面操作やアラート通知などの体験が可能です。
また、どの設備からIoTをはじめればいいか、省エネ効果を出すにはどうすればいいか、などの相談にも乗らせていただいています。
お役立ち資料ダウンロード
工場ペディア編集部からのメッセージ
はじめてのIoTは、できるところから小さく始めてみましょう!
IoTをはじめるとどうしても大々的なプロジェクトになり、予算も責任も大きくなりがち。情報システムやIT部門、総務などとの連携を図って進めていくなど、設備担当者にとって慣れないことも多いかと思います。
今回紹介した「かんたんIoT」のように、少しづつ、できるところから、予算を抑えて始めていけば、着実にステップアップでき、気づいたらDXにつながっていた、なんてこともあり得るのではないでしょうか。
この記事が、現場の環境を少しでも改善したい、というあなたの思いを実現するヒントになれば幸いです。
この記事を監修した人
岩田 吉弘
豊安工業株式会社 設計部システム室
資格:第二種情報処理技術者試験、初級システムアドミニストレータ試験
得意分野:IT関連
2012年より遠隔監視システムの導入工事を通じてIoTによる工場管理システムの可能性を発見。2019年からは工場向けIoTソリューションの開発を担当するプロジェクトマネージャーとなり、自動車関連の中小企業の工場の運用を効率化することに貢献している。