小型ボイラーの定期点検、日常管理はどうする?
保全によるメリットや回避できるトラブルを徹底解説

小型ボイラーを安全・安心、かつ効率的に長く使っていくためには、年1回義務化されている定期自主検査だけでなく、適正な日常管理や定期点検をして保全を行うといいですよ。

年1回の検査義務があることをはじめて知りました。
簡単な日常管理はやっているんですが、前任者がずいぶん前に作った管理表をずっと使っているので、適正かどうかは考えたこともありませんでした。

豊安工業では70年以上にわたり、小型ボイラーの設置・メンテナンスを行なっていますが、工場によって最適な保全方法は違うものです。
工場に合わせた最適な保全管理の方法や具体的な事例をご紹介しますね!

目次

小型化できるボイラーは貫流構造のものがほとんどで、小型貫流ボイラーと言われることもあり、蒸気エネルギーの心臓部を担う重要な設備。
しかし、義務化されている定期自主検査、定期検査、日常点検と聞いただけで、なんだか大変そうで、どうしても身構えてしまうもの。
そんなときは、小型ボイラーを自動車に置き換えてみるといいですよ。

  • 1. 義務化されている定期自主検査→車検(小型ボイラーでは年一回実施)
  • 2. 定期点検→3か月点検、半年点検など
  • 3. 日常管理→運転中や乗車前後など、利用の都度

このようにすると、かなりイメージしやすくなるのではないでしょうか。定期自主検査では、車検証のように記録を残さなければならないなど、共通点も多いです。
自家用車をお持ちの方も多いと思いますが、小型ボイラーも大切な自家用車と同様に、長く安全に使えるようにしておきましょう。

定期自主検査の検査項目は、法令で以下のように定められています。

  • 本体の損傷・異常など
  • 燃焼装置の損傷、汚れ、つまりなど
  • 自動制御装置 機能および端子の異常など
  • 附属装置および附属品 損傷や機能の異常、作動・保温の状態など
  • 圧力容器本体の損傷・異常など
  • ふたの締付けボルトの摩耗状態など
  • 管および弁の損傷など

(第94条)
1年に1回、小型ボイラーは法令の定める項目の自主検査を行う義務がある。

(第95条)
事業者は、前項第一項、又は第二項の自主検査を行った場合において、異常を認めた時は補修、その他の必要な措置を講じなければならない。

法令で定めのある検査項目はあくまでも最低限のもの。
私たちで代行させていただく場合は、圧力センサー確認や、電極保持器の整備、制御盤内の清掃など、くまなく行います。

豊安工業では、小型ボイラーの稼働状況により、義務化されている年に1回の定期自主検査に加えて、
定期点検を行うことをおすすめしています。

一日の運転時間運転日数頻度
8時間週5日(年間240日前後)年1回(義務回数のみ)
12時間週5~6日(年間260日前後)年2回(義務回数+1回)
24時間年間300日以上年3回(義務回数+2回)

適切な頻度の点検は、機器のトラブルを防止し、生産安定化に繋がります。
複数台ある場合には点検日時をずらすなど、計画を立てて、稼働への影響を最小限に抑えます。

豊安工業では、義務化されている年に1回の定期自主検査の項目に加えて、
ボイラーの稼働状態に合わせて以下のような定期点検をご提案しています。

  • 燃焼室内点検
  • 水管内点検
  • バーナー分解整備
  • 水位制御装置整備
  • 各ストレーナ清掃
  • 圧力センサーライン清掃
  • 電気配線、端子ゆるみ確認
  • 運転動作確認
  • インタロック確認
  • 燃焼状態確認調整
  • 外観目視点検

小型ボイラーの日常管理は継続できることが大切。これだけはやっておきたいことをご紹介します。

項目内容実施目安
水位計、燃料計、圧力計など計器の数値計器の数値は正常範囲内かを目視確認1回/日
異音ボイラーから異音(いつもと違う音)がしないか1回/日
異臭ボイラーから異臭(燃料や煙のにおいなど)がしないか1回/日
配管の漏れボイラー周りの配管から蒸気・燃料・水などが漏れていないか1回/日
発煙の有無燃焼中に煙突から発煙が長く続いていないか1回/日
軟水チェック硬度指示薬にて軟水をチェック1回/日
ボイラー水PHpH試験紙にて稼働中のボイラー缶水を測定1回/日
薬液注入ポンプボイラー薬液注入ポンプ(薬中ポンプ)は正常に作動しているか1回/日
全ブロー全ブローの実施燃焼時間
30時間~50時間に1度

塩(ボイラーソルト)、ボイラー薬品、硬度指示薬、pH試験紙などの在庫にも注意しましょう。

定期点検と日常管理など適切な保全活動を続けることで、
得られるメリットと回避できるトラブルをご紹介していきます。

メリット1:安全性、安定性の確保

小型ボイラーは機械ですので、使い続けることで各所が劣化、故障していくのはやむを得ません。
日常管理・定期点検を実施すると、劣化箇所、経年部品の早期発見にもつながり、予知予防での保全対応ができるようになります。
工場で、安全かつ安定的に蒸気を使用するために、定期点検の実施は大きな意味を持っていると言えます。

メリット2:高効率化

各メーカー様の努力により、現在の小型ボイラーは非常に高効率に設計されています。しかし、それは新品状態での話。稼働と共に、どうしても汚れの付着、燃焼バランスのずれなどが起こり、せっかくの高効率が保てなくなってきます。定期点検では各所の清掃はもちろんのこと、燃焼の最適化を行いますので、より高効率での運用が可能。日々の燃料費削減の一助となります。

メリット3:長寿命化

現在、小型ボイラーの寿命は、約10年~15年と言われます。ただし、それはきちんとした管理が行われて初めて成り立つものです。日常管理を行っていただくことも大切ですし、定期点検でのボイラー缶内の確認や、水処理状況の確認など、変化に合わせて是正を行っていく事も必要となってきます。人も長生きするために、定期的な検診が必要となるように、ボイラーも定期点検を実施していくことが、長くご使用いただく上でのポイントと言えます。

燃焼トラブル

燃焼トラブルは、最も多くある小型ボイラーのトラブルです。
点火装置や電気系統、燃料供給管などの異常により、火が付かない、火をつけてもすぐ消えてしまう、などのトラブルが起こると、そもそも小型ボイラーを使えなくなってしまいます。
スケール障害が原因になることもあります。

不完全燃焼

油焚きタイプの小型ボイラーが不完全燃焼を起こすと、煙突から黒い煙が出ます。黒煙は、悪臭やスス(煤)の飛散などの原因となるため、近隣への迷惑はもちろんのこと、環境にも悪影響です。
ガス焚きタイプの場合は、一酸化炭素が発生するため、特にボイラー室などの屋内空間や、排出口付近などが非常に危険です。

機器からの蒸気・燃料漏れ

小型ボイラー内部は高圧力。そのため、小さな傷や凹みがついてしまうと、高温の蒸気や熱湯が勢いよく噴き出す可能性があり、大変危険です。
漏れ箇所が小さい場合でも、圧力の影響で広がったり、エネルギーの無駄使いになるので、早めの対策をしましょう。
同様に、燃料のガスや油漏れにも注意が必要です。

給水ライントラブル

小型ボイラーには、空焚きを防止するために水位低下検出装置が設置してあります。水位が補給ラインを下回った場合に燃焼を停止しますが、装置に不具合があると、高水位にもかかわらず停止したり、低水位を検出できず空焚きを起こしたりするなどの可能性があります。

スケール障害

スケール障害とは、カルシウムやマグネシウムなどの硬度成分が、ボイラー内の蒸発管などの伝熱部に蓄積され、膜(スケール)となる現象です。
スケールにより、ボイラー水の温度上昇が妨げられ、熱効率が悪くなってしまいます。反対に、蒸発管は放熱できず過熱状態となり、曲がりや割れ、折れを起こしやすくなります。
軟水装置がしっかり軟水化できているかを根本的に見直さないと、スケール除去剤やシリカ・鉄の過剰濃縮の防止などでは対策しきれない障害です。

キャリーオーバー対策

キャリーオーバーとは、蒸気化がうまくいかず、水を含んでベタベタした質の悪い蒸気ができてしまうことです。水の混入により、伝熱能力が低くなり、蒸気設備の効率が落ちてしまいます。
また、水がドレン化し、ウォーターハンマーを引き起こす可能性もあります。
キャリーオーバーを防ぐには、汽水分離器などの機器類の見直しを行うとともに、ボイラー水の塩類濃度の調整や、油脂類の混入防止といった、水質の改善対策を行いましょう。

内部腐食

ボイラーが缶内から錆びてしまうことで、腐食が起こります。
水内の酸素や蒸気に含まれる炭酸ガス(二酸化炭素)によるものや、ボイラーに注入する薬剤と水質のバランスなど、原因は様々ですが、腐食はどこか一箇所で起こるものではないため、ひどくなるとボイラーの入れ替えにもつながります。
また、蒸気中のサビ成分の含有率が高くなると、エネルギーロスにもつながってしまいます。適切な給水管理を行いましょう。

このようなトラブルは、起きてしまうとどれも生産ラインに影響が出てしまいます。
ここからは、着実な保全活動が実を結んだ、実際の事例を見ていきましょう!

点検時に早期発見と対応ができ、約半分の費用で修理完了

2020年8月実施
愛知県安城市
修理費用:約15万円

点検時、No.6ボイラーの送風機モーターからの異音を発見しました。
普段から、ボイラー室内はボイラーの起動音にて騒がしく、お客様の日常点検ではなかなか気づけない状況でした。
早急に段取りし修理(モーターベアリング取替)を実施致しました。放置しておくとモーターに過負荷がかかりボイラーの停止や場合によってはモーターの破損に繋がります。
送風機のモーターは出力も大きく取替を要すると高額の費用が掛かってきます。今回の修理では早期対応ができ、約半分の費用で修理完了となりました。

定期点検で時折燃焼不良が生じているのを発見。
燃焼の最適化を行い、高効率でのボイラー運転が可能に

2019年6月実施
愛知県刈谷市
修理費用:約10万円

点検時、No.2ボイラーの空気ダンパーがチャタリングを起こしていました。燃焼を確認したところ、燃焼バランスのずれが生じており、時折燃焼不良が生じている状況でした。お客様とご相談し、持っていたダンパーモーターを取替実施致しました。
燃焼状態は点検の際しか確認しないため、日常管理での発見は大変困難です。加えて、燃焼不良にてボイラーを稼働していると効率が悪く燃料費がかさんでしまいます。
今回の修理にて燃焼の最適化ができ、高効率でのボイラー運転が可能となりました。

薬品の適正投入を続けることで、納入から15年を超えるボイラーを現在も使用!

2020年9月実施
愛知県安城市
修理費用:約8万円

点検時、No.1ボイラーの缶水未濃縮が確認されました。
症状としては、ボイラー缶体の腐食を保護するために入れている薬品ポンプが動作しておらず、薬品が入っていない状況でした。お客様とご相談し、薬注ポンプ取替を実施しました。
ボイラーの缶体は1度腐食してしまうと元には戻りません。そのため、薬品の適正投入は長くご使用いただくための必須項目と言えます。
点検時の発見ができ、薬品の適正投入がされているおかげで、納入15年を超える現在もボイラーをご使用いただいております。

Q
定期点検や法令定期自主検査にはどれくらい時間がかかる?
A

小型ボイラーの状況にもよりますが、一基につき、概ね半日~1日で済むことがほとんどです。
詳しくは、現地調査後にお伝えします。

Q
ボイラー使用中でも定期点検や法令定期自主検査はできる?
A

ボイラー缶内を確認しなければならないので、停止をお願いしています。

Q
定期点検を依頼した場合、エビデンスはもらえる?
A

既定のチェック表で確認した事項をエビデンスとして発行いたします。

Q
予備のボイラーは必ず必要?
A

機器はどうしても調子が悪くなったり、壊れたりするもの。
何かあったときのリスク管理の一環として、予備ボイラーを持っていただくことをオススメしています。

Q
ファイバースコープ検査はどのタイミングで行う?
A

内部腐食は徐々に進行するので、10年1周期で行うといいでしょう。

動画で見るファイバースコープ検査

スケール障害、キャリーオーバー、内部腐食はドレンの水質調査である程度予測できますが、しっかり現状把握をした上で対策したい場合は、ファイバースコープでボイラー缶内を検査する方法があります。

なかでも内部腐食は一度進行すると修理ができません。ひどくなるとボイラー本体を買い替えるしか手段がなくなってしまいます。長期間使用しているボイラーほど注意が必要です。

ファイバースコープ検査による小型ボイラーの缶内撮影

ファイバースコープ検査の費用は、小型ボイラーの規模に準じます。
3万円/1台程度になるので、ご検討の際、参考にしてみてください。

トラブルを未然に防ぐために、ボイラーの保全が大切だということがよくわかりました。
定期点検やメンテナンスには、どれくらい費用がかかるのでしょうか。

ここからは、豊安工業でボイラーの定期点検、メンテナンスを実施した場合の費用をご紹介します!

2022年12月改訂

ボイラーサイズ(蒸気量 kg/h)改定後点検料金(1基あたり 円)
0~74940,000
750~1,49945,000
1,500~2,00055,000
2,50060,000
3,000(その他比例制御ボイラー)70,000

ボイラーのメンテナンス修理、工事におきまして¥20,000/半日を基準単価とさせていただきます。

2022年12月改訂

メンテナンス修理・工事種別価格
緊急対応修理¥20,000/半日
夜間工事単価
(22:00〜5:00)
¥30,000/半日
夜間緊急対応単価
(22:00〜5:00)
¥40,000/半日

※ボイラー定期メンテナンス実施後、1ヶ月以内の修理代金は無償となります。

2022年12月改訂

メンテナンス修理・工事種別価格
緊急対応修理¥30,000/半日
夜間工事単価
(22:00〜5:00)
¥36,000/半日
夜間緊急対応単価
(22:00〜5:00)
¥50,000/半日

ご相談から検査実施までの流れをご紹介します。
法令定期自主検査の代行も承っております。

1.ご相談

お問い合わせフォームよりご相談ください。
お電話でのご相談も承っております。ボイラーの型番がわかれば、現地調査しなくてもお見積り可能です。

2.現地調査

小型ボイラーの状態、使用状況などをご担当者様のご同行のもと現地調査をします。 検査に必要な時間の目安もお伝えします。

3.お見積り

現地調査内容に基づきお見積りいたします。小型ボイラーの容量にもよるため、あくまで目安ですが、一基につき最低40,000円~ をご想定ください。

4.日程調整

小型ボイラーを止めてもよい日程をご提示いただきながら、検査日を調整します。

5.検査実施

ご担当者様のご同行のもと、検査を行っていきます。
検査完了後、実施した証として、実施済証と検査記録(点検レポート)をお渡しします。

ご相談いただいたその日から、「安心・安定性の確保」「高効率化」「高寿命化」を実現するための最適な方法を考えさせていただき、ご提案いたします。

お役立ち資料ダウンロード

自社でやっていただける小型ボイラー日常点検の詳しい管理表になります。取扱説明書付きで、何をどのように管理すればよいか詳しい説明を掲載しています。
事例集サンプル
小型ボイラーの保全・メンテナンスでトラブルを防止できたケースとお見積り金額を掲載した事例集です。

小型ボイラーのトラブルは、工場の生産ラインにとってかなりの痛手となります。
だからといってやみくもに日常管理の頻度をあげたり、項目が適正でないと、保全活動につながらないどころか、やがて嫌になって保全アレルギーを起こしてしまいます。
これを機に、小型ボイラーの正しい予知・予防保全に取り組まれてはいかがでしょうか。正しく保全していけば、トラブルによる買い替えなどの確率も低くなり、大きなダメージを回避できるようになりますよ。
この記事が、現場の環境を少しでも改善したい、というあなたの思いを実現するヒントになれば幸いです。

この記事を監修した人

桐山 直也

桐山 直也

豊安工業株式会社 メンテナンス部
資格:一級ボイラー技士、ボイラー整備士
得意分野:ボイラーメンテナンス全般

ボイラーメンテナンスの全般を得意とする専門家として業界に貢献してきた。知識はボイラー、蒸気、熱関連の領域に深く及び、この領域の専門知識を基にして、工業系、食品系、リネン、個人商店等、幅広いお客様の対応を行っている。

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