工場の電気代を賢く削減!デマンド管理のススメ

新電力会社がサービス終了してしまい、さらに電気料金が上がっているので、電気代を何とか下げたいんですが、何か方法はありますか?

確かに最近は原油価格の高騰もあって、電気料金が上がっていますね。多くの方が同様の問題を抱えています。

IoTシステムを活用したデマンドコントロールで、電気代を効果的に削減する方法がありますよ。

それは理想的だけど、我々のような小規模工場では高価な設備投資が難しいし、専門的な知識も必要でしょう?

確かに初期投資は必要ですが、クラウドベースのIoTシステムなら意外と手頃で、操作も簡単です。

実際に導入することで、コスト削減が見込めますよ。

目次

多くの方が電気代の高騰に悩まされています。
特に、原油価格の上昇によりサービスを終了した新電力会社もあるなど、電気料金の値上がりが続いています。

電気代高騰前は基本料金が1,000円/1kW未満の新電力会社もあったようですが、2024年5月現在、中部電力ミライズの料金は1,700~2,000円/1kWとなり、2倍近くに高騰しています。

このような状況では、省電力対策を地道に実施することが、電気代削減の有効な手段となります。

電気代を削減するにはデマンド削減が効果的です。
ただ、従来の方法では一時的な効果しか期待できません。

従来のデマンドコントローラーの実際の問題点

従来のシステムは、単にデマンド超過を知らせるだけで、データ記録や分析機能がほとんどありませんでした。そのため、エアコン停止や照明の消灯といった場当たり的な対策が一般的でしたが、これでは「機器を止めるわけにはいかない」「設定が古く警報の意味がない」「忙しくて対応できない」といった問題が発生し、実際には運用が中断されることが多いです。

デマンドコントローラーは以前導入しましたが、警報が発生しても生産は止められないので対策になりませんでした。

「現場まかせの場当たり的な運用」や「我慢や無理を強いる運用」は長続きしないのが実情ですね。

短期的な対策ではなく、長期的な解決策を探ろう

昔ながらのデマンドコントローラーは一時的な節電には役立ちますが、長期的な電力管理には不十分です。新しい技術を取り入れ、賢く電力使用を工夫することで、持続的な節電とコスト削減が可能になります。

豊安工業では「ワイヤレスIoTクラウドロガー」を使った削減手法をご提案しています。従来のデマンドコントローラーの弱点を改善した新しいクラウド型デマンドコントローラーです。

豊安工業ではデマンドを詳細に分析するための「データ蓄積」と「分析グラフ」の2つ機能を持つ「ワイヤレスIoTクラウドロガー」(以下、クラウドロガー)を用いたデマンド削減手法をご提案しています。

データ蓄積とグラフ生成による効率的なデマンド分析が可能

クラウドロガーは、

  • 電気がいつ使われたかをリアルタイムでクラウドへ記録する「データ蓄積機能」
  • 蓄積データから分析グラフを自動生成する「グラフ生成機能」

の2つの機能で構成される、クラウド型のデマンドコントローラーです。

この2つの機能により、電力使用の詳細な分析が可能となり、無駄なエネルギー消費を特定し、効率的な削減策を実施することができます。電力の使い方を見直し、デマンド(契約電力)を賢く削減することで、現場の負担を減らしながら電気代の削減が可能です。

分析に必要なさまざまなグラフを自動生成します

クラウドロガーは、分析に必要なグラフをすべて自動で生成し、分析作業の手間を軽減します。

データはすべてクラウドに記録

データはクラウドに保存されるため、機器が設置されている場所に行き、データを取り出す必要がなくなります。記憶容量を気にすることなく、24時間365日安定してデータを記録できます。

曜日や時間、頻度で絞り込んだグラフなど、さまざまなグラフによりデマンドを押し上げている設備や工程を分析し原因を突き止めることができます。

(1)発生頻度:曜日ごと

曜日ごとの集計

一定以上の大きさの電力消費の発生頻度を曜日ごとに集計したグラフ

水曜日が他の曜日とくらべて電力消費が大きいことがわかります。

水曜日のみ稼働する設備がある、違う工程があるなど、対象日を絞り込むことで効率よく原因を突き止めることができます。

(2)発生頻度:時間ごと

時間ごとの集計

大きな電力消費を時間ごとに集計したグラフ

9~10時と、14~15時の間で各1回ずつ370kWを超える大きなデマンドが発生していることがわかります。

大きな電力を消費する設備は限られるでしょうから、時間まで絞り込めば原因設備の特定が容易です。

(3)ヒストグラム

発生頻度

デマンドを発生回数で集計したグラフ

最大電力の上位5回(359~371kW)がいずれも1回づつ発生しており、この5回を抑えることができれば、デマンドを351kW(24kW=6%)を削減できるのがわかります。

上記のほか、起動した設備が特定できるレベルの詳細な30秒デマンドグラフ、デマンドが超過する前に警告する「予測デマンドグラフ」など、デマンド管理のための多用なグラフを持っています。

  • 30秒デマンドグラフ
  • 30分デマンドグラフ
  • 予測デマンドグラフ
  • 最大デマンド(上位5件)

グラフは期間指定もできるので、過去にさかのぼった分析もできます。

毎週の傾向や季節ごとの違いは?(週間グラフ)、昨年と今年をくらべると?(年間グラフ)など、さまざまな切り口で比較分析ができます。

週間グラフ
年間グラフ

分析で原因を見つけたら、次は削減対策を実施します。対策を仕事のルールに組み込むことで無理なくデマンド削減していきましょう。

ルールや作業手順の見直しを伴うとなると、大掛かりで難しそうです。私たちでも取り組めるでしょうか?

分析してみると実は、流れでなんとなくやっていた工程が原因の場合も多いようですよ。なので対策も大掛かりでなく、ちょっとした手順の見直し程度でも削減できます。

デマンド削減を継続する秘訣は、無理なく業務ルールに節電方法を組み込むことです。以下のステップで効果的に電力の無駄を削減し、自然な習慣化を図ります。

  1. 大きな電力を使用する設備の稼働時間を特定する。
  2. 電力消費が集中しないよう手順を調整する。
  3. これらの方法を現場の運用ルールに組み込む。
  4. 継続的にこれらの行動を実行する。

このアプローチにより、職場の電力使用が自然と最適化され、持続可能なデマンド削減が実現します。

小さな変更から始め、それをルール化して実践することがポイントです。

すぐに結果が出て、誰でもできるルールのほうが恒久的な対策となり、デマンド削減を継続できます。

それでも、社員に負担をかけるような対策には反発があるかもしれません。

電気代削減の成果が目に見えてわかれば、協力してもらえると思いますが…

実際に試した削減策が効果的だったかどうかを分析し、その結果を関連部署と共有することが重要です。

みなさんが協力し、結果を見ることでモチベーションも高まります。
クラウドロガーは、このような情報共有をサポートするための機能を提供しています。

  • 手軽にいつでも見るための「スマホ・PCでリアルタイム閲覧機能」 
  • 季節変動や生産量の増減を見るための「1年間以上のデータ蓄積機能」
  • サーバーやパソコンに依存しない「データのクラウド保管」
  • 人の手が介在しない「自動グラフ生成機能」
  • 起動した設備が特定できるレベルに細かい「受電電力の30秒刻み保存機能」
  • 超過前に気づく「デマンド予測警報機能」

クラウドロガーは、日常の運用を継続的にサポートするために多様な機能を提供しています。

会議のたびにデータ集計しなくても、モニターでグラフを見ながら結果の振り返りや削減対策の検討をいつでもできます。クラウドロガーは手間なし情報共有と継続運用をサポートします。

製品の導入から運用、保守に至るまで、専門のサポートチームが全面的にサポートします。安心して技術を導入できる環境を提供します。

お客様に集中していただきたいのは導入ではなく、削減対策そのものです。削減対策に専念できるようサポートいたしますので、興味があればお気軽にお問い合わせください。

導入後すぐに削減対策が始められれば、システムの導入費用も早く回収可能ですね。

Q
クラウドロガーはサブスクですか?「2年縛り」などありますか?
A

クラウドロガーは他の設備と同じく販売・買取です。
サブスク(サブスクリプション=月額課金)ではないため使用期間の”縛り”はありません。

Q
工場全体の消費電力はどのように計測するのですか?ものすごくコストがかかりそうな印象です。
A

工場全体の電力取得は電力会社のメーター内にクランプ式センサーを1個取り付けるだけなので低コスト、短工期で導入が可能です。

Q
クラウドロガーの導入費用はどのくらいでしょうか?
A

概算ですが、本体(センサー、初期設定含む): 70万円、工事費: 20万円 ほどです。(金額は税別)
システム製品なので都度お見積りとなります。

Q
電力会社のデマンドと違う数値になりませんか?ずれてしまったら意味がないです。
A

電力メーター内の計測用パルス信号をカウントする方式なので、電力会社の請求データと完全一致します。

Q
電気に詳しくないので、電力会社と工事のやり取りを自分たちで対応できるか不安です。
A

電力メーターへのセンサー設置には電力会社への設置申請が必要ですが、手続きはすべて豊安工業がサポートするので大丈夫です。

Q
社内にクラウドや通信に詳しい人がいないので、ちゃんと使えるか心配です。
A

クラウドや通信の知識は一切なくても運用できます。
設置工事から調整まですべて豊安工業が実施し、お客様は電源を入れればすぐに分析スタートできる状態で納品します。

Q
導入工事は御社で対応可能ですか?
A

豊安工業は工場専門の設備工事の会社です。クラウドロガーの提案から設置工事まですべておまかせください。
もし削減対策に必要な工事があれば、もちろん豊安工業で工事可能です。お気軽にご相談ください。

Q
屋外にも設置可能ですか?
A

クラウドロガーは屋外設置可能です。
屋内・屋外問わず、携帯電話の電波が届く場所に設置する必要があります。

Q
クラウド使用料や保守費用について教えてください。
A

クラウド使用料および保守費として1年単位の保守契約が必要です。

・年間保守費用にクラウド使用料とデータ通信費を含みます
・保守費用 6万円/年~(契約電力により変動します)
・いつでも解約、サービス停止が可能です

Q
保守とは、どのようなことを実施しますか?
A

クラウドロガー安定稼働の為の遠隔監視のほか、デマンド削減の分析サポートを実施します。

・デマンド目標の初期設定と運用後の見直し調整を豊安工業で実施します
・デマンド削減のアドバイス、ご相談を実施します

ワイヤレスIoTクラウドロガー パンフレット
ワイヤレスIoTクラウドロガー
工場ですぐに使えるパッケージ「ワイヤレスIoTクラウドロガー」のリーフレットです。
ショールーム
体験型ショールームのご案内
実際の工業と同じ設備を稼働させて、ワイヤレスIoTクラウドロガーをはじめとするIoTシステムを体験できるショールームの紹介チラシです。

クラウドロガーは今回ご紹介したデマンドコントローラー機能のほか、工場全体の水道やガスの使用量や設備単位のエネルギー消費を計測することができ、それぞれ削減分析が可能となります。

詳しくは以下の関連記事にて導入事例や削減事例をご案内しています。ぜひご覧ください。

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エネルギー管理の最適化は、小さな一歩から

エネルギー管理の最適化は即効性のあるものではありませんが、長期的な視点から少しずつ改善を進めることが大切です。

ワイヤレスIoTクラウドロガーをはじめとする最新のツールを利用することで、日々の電力消費を精密に監視し、分析することが可能となります。これにより、無駄なエネルギー使用を削減し、コストを効率的に管理するため土台宿里にもなります。

中長期的なエネルギー効率の向上とコスト削減の取り組みは、継続できる仕組みと正確なデータがあってこそ成果につながります。詳細な情報を有効活用して、持続可能な運用を目指しましょう。

この記事を監修した人

岩田 吉弘

岩田 吉弘

豊安工業株式会社 設計部システム室
資格:第二種情報処理技術者試験、初級システムアドミニストレータ試験
得意分野:IT関連

2012年より遠隔監視システムの導入工事を通じてIoTによる工場管理システムの可能性を発見。2019年からは工場向けIoTソリューションの開発を担当するプロジェクトマネージャーとなり、自動車関連の中小企業の工場の運用を効率化することに貢献している。