
工場内に手洗いが多く、どこかしらで流れが悪くなっています。パイプクリーナーを使っても直らない場所があり、そのたびに対応するのも手間です。

その場合、排水口だけでなく、排水トラップの内部に石鹸やハンドソープのカス、髪の毛、油汚れなどがたまっていることがあります。詰まってから対応するだけでなく、定期的にトラップを清掃する方法も考えておきたいところです!

水と一緒に流れていると思っていましたが、見えない場所に汚れが残るのですね!詰まりが起きる前に清掃しておけば、毎回の応急処置も減らせそうです!

その考え方が大切です!
手洗いは毎日使う設備だからこそ、流れが悪くなってから直すのではなく、工場内の手洗いをまとめて確認し、定期清掃へ切り替えると管理しやすくなります!
手洗い排水は「水が流れているから大丈夫」とは限らない
手洗いは構造が単純に見えるため、流れている間はあまり気にされない設備です。しかし、長年使っている手洗いでは、排水トラップや配管の内部に少しずつ汚れがたまります。


流れが悪くなってから毎回対応するより、定期的に状態を確認して清掃するほうが、現場の手間を抑えやすくなります。
よくある困りごとを整理すると、次のようになります。
- 排水の流れが悪くなる
石鹸やハンドソープのカス、髪の毛、ほこり、油汚れなどが内部に蓄積し、排水を妨げます。 - 手洗いから臭気が上がる
排水トラップ内部の汚れや、長期間使用していないことによる封水の蒸発などが原因になることがあります。 - 詰まり対応に時間を取られる
手洗いの数が多い工場では、1か所ずつ不具合が発生すると、そのたびに保全担当者の対応が必要になります。 - 自己流の清掃で排水管を傷めることがある
ワイヤーなどを無理に入れると、状態によっては排水管を傷め、漏水につながる場合があります。 - 排水管の劣化や漏水につながる
汚れを長期間ためたままにすると、詰まりだけでなく配管の劣化を早める原因にもなります。
排水トラップは、配管内に水をためる「封水」によって、下水側からの臭いや虫の侵入を防ぐ部品です。主な形状には、Pトラップ、Sトラップ、ボトルトラップなどがあります。

「まだ水が流れるから大丈夫」と考えるより、流れや臭いに変化が出る前から見ておいたほうが良さそうですね!

特に手洗いの数が多い工場では、1か所ずつ不具合が出てから追いかけるより、まとめて状態を確認するほうが予防保全につなげやすくなります。
30か所の手洗いをまとめて定期清掃した事例
詰まり対応から工場全体の予防保全へ
地域:愛知県
業種:自動車部品製造工場
工場規模:500人規模
施工規模:1か所あたり30分程度
工期・体制:30か所・2日間・延べ工数2人
予算:1か所あたり3,000~5,000円程度(清掃数により変動)
問題点
工場内には多くの手洗いがあり、常に何か所かで排水不良が起きていました。パイプクリーナーを使っても改善しない場所があり、手洗い側からワイヤーを入れて詰まりを取ろうとしたこともありました。しかし改善せず、排水管に穴が開き、その手洗いが使用できなくなるケースまで発生していました。
改善内容
排水管には水だけでなく、石鹸やハンドソープのカス、髪の毛、ほこり、油汚れなどが蓄積します。そこで、不具合が出た場所だけを直すのではなく、工場内の複数の手洗い場を確認し、全30か所の排水トラップをまとめて定期清掃する方法へ切り替えました。 詰まりが起きてから対処する管理から、予防保全を意識した管理へ見直しています。
お客様の声
手洗いの数が多いため、以前は常に何か所かで排水不良が起こり、清掃の手間も増えていました。従業員から改善を求められることもありましたが、定期清掃を依頼したことで臭気や排水量が改善。衛生面でも安心して手洗いを使用できる環境につながりました。
手洗いを長く使うために押さえたい予防保全のポイント
今回の事例で重要なのは、詰まりを取る方法そのものより、「詰まったら対応する」管理から「詰まる前に手入れする」管理へ切り替えたことです。
毎日使う設備だからこそ、特別なことを一度だけ行うのではなく、日々の使い方と定期清掃を組み合わせることがポイントになります。
- 排水口にゴミ受けを設置する
髪の毛や異物をできるだけ排水管へ流さないことで、内部への蓄積を抑えます。 - 異物を流さないよう工場内で周知する
手洗いは廃液や汚れを何でも流せる場所ではありません。日頃の使い方も詰まり防止につながります。 - 排水に必要な水量を確保する
汚れを配管内に残しにくくするため、水量にも気を配ります。 - 流れや臭いの変化を清掃のサインとして見る
完全に詰まるまで使い続けず、変化が見られた段階で状態を確認すると安心です。 - 分解後の復旧まで考えて作業者を決める
排水トラップを取り外した場合は、ガスケットや取り付け角度にも注意が必要です。復旧が不十分だと漏水につながります。 - 取扱説明書や施工マニュアルを確認する
トラップの種類やメーカーによって構造が異なるため、清掃や交換時は指定された方法を確認します。
特に参考にしたいのが、1か所のトラブルだけを見るのではなく、工場内の複数の手洗い場の状態を確認して、まとめて定期清掃の対象にしたことです。 排水トラップには、Pトラップ、Sトラップ、ボトルトラップなどがあり、構造も異なります。すべてを同じ方法で扱うのではなく、設置状況を見ながら管理方法を決めましょう。
よくある質問
あります。水量を確保すること、排水口にゴミ受けを設置すること、異物を流さないようにすることが基本です。まずは排水管へ入る汚れを減らすところから始めると、日常管理にも取り入れやすくなります。
取り外し後の復旧では、ガスケットの交換や取り付け角度の調整が必要になります。取り付けが不十分だと漏水するリスクが高まるため、構造や復旧方法が分からない場合は専門業者へ依頼するのがおすすめです。
使用する薬品によって扱いが異なります。目安としては2週間~1か月に1回程度とし、実際の使用頻度や使用方法は製品の表示を確認しましょう。薬品だけに頼らず、排水トラップ内部の状態を見ることも大切です。
工場ペディア編集部からのメッセージ
毎日使う小さな設備こそ、詰まる前の手入れが保全の負担を減らす
工場の手洗いは、生産設備のように毎日の点検対象になりにくい一方、使えなくなると従業員がすぐに困る設備です。排水不良が起こるたびにパイプクリーナーやワイヤーで対応していると、保全担当者の作業も増えてしまいます。
今回の事例のように、工場内の手洗いをまとめて確認し、排水トラップを定期清掃する仕組みに変えることで、臭気や排水不良の予防につながります。設備を壊れるまで使うのではなく、小さな異変の段階で手入れすることは、修理部品や交換作業の削減にもつながる考え方です。
こうした身近な設備の予防保全を積み重ねることも、資源を無駄にせず設備を長く使う、持続可能な工場づくりの一歩になります。
この記事を監修した人

伊藤 洋陽
豊安工業株式会社 プラント管理部1課 係長
資格:給水装置工事主任技術者
得意分野:プラント配管工事及び給排水衛生設備配管工事
工場や事務所の改修・修繕・改善工事を中心に、施工管理や配管設備の営業に従事。配管および付帯機器の選定に関する知識を備え、現場での実践力を磨いてきた。特に自動車部品製造工場の工事を得意とし、お客様のニーズに柔軟に対応している。




