ラインポンプのメカニカルシール漏れ放置で大事故に!防止するためのメンテナンス術とは?

ラインポンプから水漏れが発生しているのですが、どこから漏れているのか原因が分からず困っています。

おそらく消耗部品であるメカニカルシールの漏れではないでしょうか?
初期段階では気づきにくく、放っておくと多量の漏れとなり、重大事故につながることもあります。
まずは、現地確認や写真を送っていただければ原因を特定します!その後適切な対応を取ることが重要です。

メカニカルシールとは初めて聞きました。
どこの部分にあって、対策はどうすればいいですか?

知らない方も多いラインポンプのメカニカルシール。実は重要な役割を担っています!
メカニカルシールによる漏れの原因と、具体的な対策について詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください!

ラインポンプの特徴

ラインポンプは、流体の移送や循環に用いられるポンプで、循環ポンプやインラインポンプとも呼ばれます。主な特徴として、次の点が挙げられます。

  • 配管の途中に直接接続できる構造を持つため、取り付けが容易
  • 小型・軽量で、省スペースでの設置に適している
  • 多くのメーカーが製造しており、用途に応じた選定がしやすい

メカニカルシールとは?

メカニカルシールはポンプ軸封部からの漏れや、異物混入を機械的に防ぐ重要な部品です

消耗部品のため長期間の使用による摩耗や劣化が進むと、密閉性能が低下し漏れが発生することがあります。
もし、ポンプ軸とケーシングを封印するための部品であるメカニカルシールがなければ、ポンプ内の液体は漏れてしまいます。

メカニカルシールはラインポンプを稼働させる上で重要な部品なのです。

メカニカルシールの漏れは、次のような原因で発生します。

  • 経年劣化
    長期間の使用によりシール材が摩耗し密閉性が失われる
  • 潤滑不良
    冷却液や潤滑油の供給が不十分で、摩耗が進む
  • 異物混入
    固形物がシールに挟まり、密閉が不完全になる
  • 取り付け不良
    シールの組み付けミスにより、運転開始直後から漏れが発生する

少量の漏れは発見しにくく、急激に悪化した場合に初めて気付くことが多いです。そのため、日々の日常の点検が欠かせません

ラインポンプのメカニカルシール漏れを防ぐためには、定期点検と適切なメンテナンスが不可欠です
点検の際は、次のポイントを重点的に確認しましょう。

  • 運転状況の確認:異音や振動が発生していないか、圧力や流量が正常範囲内かをチェック
  • ポンプの外観点検:ポンプ本体や周辺に漏れ跡がないかを確認
  • メカニカルシールの点検:外部漏れが発生していないかを確認
漏れあり
漏れなし
漏れ跡

写真で比較すると、漏れていることがよく分かります。
日頃見ていると変化に気づきにくいので、よく意識して観察しないといけませんね。

何気ないことかもしれませんが、これらの点を意識し、定期的に点検を実施することで、漏れの兆候を早期に発見し、対処できるようになります。日常点検で大きな事故を防ぐことができるのです。

万が一、メカニカルシールから漏れが発生した場合は、できるだけ早く修理をすることが重要です。

1.漏れの原因箇所を特定し、漏れの量や状態を確認

修理を確実に行うため、調査として、現地調査、あるいは写真でメカニカルシールに漏れがあるかどうか原因追及をします。

2.型式に合わせたメカニカルシールを交換

ポンプの種類によって、メカニカルシール部品が異なるため、銘板にて確認し部品照合をします。

3.交換後はポンプを再稼働し、正常に機能しているかをチェック

メカニカルシールからの漏れはないか、ポンプの回転方向は良いか、吐出圧力は正常かどうかを確認します。

交換作業を行う際には、ポンプを安全に停止し、ポンプ入口・出口にあるバルブを閉め、ポンプ内の流体を抜いたうえで分解することがポイントです。
新しいメカニカルシールを取り付ける際は、取付部分の清掃、正しい位置への設置、規定トルクでの締め付けを徹底することで、再発を防ぎます。

内部構造
内部構造
メカニカルシール部

メカニカルシールの漏れやポンプ本体の故障を防ぐためには、適切なポンプを選び、正しい方法で設置することが重要です。
特に、これらのポイントをご紹介します。

  • 使用する流体の特性に適したポンプを選定
    …シール部分への負担を軽減
  • 設置環境に適した耐久性のある機種を選択
    …長期間の運用を見据えた選定を行う
  • 消耗部品の在庫を確保しておく
    …万が一のトラブル発生時にも迅速に対応できるようにする

メーカーによっては部品の供給に時間がかかる場合もあるため、あらかじめ自社で交換用部品を準備しておくことを強く推奨しています!

メカニカルシールの適切な管理・準備でポンプトラブルを最小限に

ラインポンプのメカニカルシール漏れは、日頃の点検を欠かさず行うことで防ぐことができます。運転状況を常にチェックし、わずかな異変にも早めに対応することで、深刻なトラブルを未然に防ぐことにつながりますし、消耗部品をあらかじめ準備しておけば、いざというときにも素早く交換でき、突然の故障にも落ち着いて対応ができます。

工場で重要な役割を担うポンプは、1台だけに頼るのではなく、2台体制を整え、予備機を確保しておくことも大切です。これにより、万が一のトラブルが発生してもスムーズに切り替えができ、稼働の安定を保つことができます。

こうした取り組みを習慣づけることで、設備の健全な状態を維持し、長く安心して使い続けることができます。日々の点検や定期的なメンテナンスを怠らず、安定した運用を心がけましょう。

万が一の場合や、日常点検でお困りの際はお気軽にお問い合わせください。

この記事を監修した人

近藤 完哉

近藤 完哉

豊安工業株式会社 メンテナンス部メンテ課
資格:一級ボイラー技士、第二種電気工事士、二級管工事施工管理技士、危険物取扱者乙種4類
得意分野:ボイラー、配管工事(蒸気)

メンテナンス部でボイラーや圧力容器の定期点検業務、配管工事に従事。
ボイラー点検後の予防保全や既設配管の改善工事を得意とし、多様な現場で経験を積みながら、お客様のニーズに応えるサポートを行っている。

工場ペディア監修

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