
最近生産ラインでエアー供給が不安定になり、圧力低下が発生しているんです…
どう改善すればよいでしょうか?

エアー供給の安定は、生産効率を維持するために非常に重要です。
特に圧力変動を防ぐには、エアータンクの適切な設置が効果的ですよ!

なるほど、エアータンクの設置が重要なのですね!
それでは、どのような場所に設置すれば効果がありますか?

設置場所と容量の選定が重要なポイントになります。これからエアータンク導入の具体的なポイントと圧力変動への対策について詳しく解説していきます!
エアー配管設計に必要な圧力変動対策
工場内で使用されるエアーは、生産活動に欠かせないエネルギー源です。
ただし、生産ラインで急激なエアー消費や使用状況の変化が生じると、圧力低下が発生することがあります。
この課題を解決するために重要なのが、エアータンクを活用した圧力変動対策です。エアー配管設計のポイントやエアータンクの効果的な活用方法について詳しく解説します。
エアータンクとは?その役割と基本原理
エアータンク(レシーバータンク、空気槽)は、コンプレッサーが生成したエアーを一時的に貯め、圧力を安定させる設備です。
エアータンクは、圧力変動を平準化し、消費量の変動に対応することで、生産ラインやコンプレッサーの安定稼働を支える重要な役割を果たします。


圧力変動が生産ラインに与える影響
工場でのエアー供給が不安定になると発生する問題
エアー供給が不安定になると、次のような問題が発生します。
- 設備の動作不良や停止
エアー不足により設備が正常に動作せず、製品品質の低下や生産効率の低下を引き起こします。 - 電気代コストの増大
コンプレッサーの発停回数が増えることでエネルギーロスが発生し、併せて機器の損耗が進んでしまいます。
圧力変動を抑える現場での取り組み
エアー供給の安定化を図るため、現場では以下の手法が採用される場合があります。
- 吐出圧力を高めに設定
圧力変動に備えて高い吐出圧力を設定しますが、その分エネルギーロスが発生します。 - コンプレッサーの運転台数を増加
複数台のコンプレッサーを運転することで吐出量を確保しますが、これもエネルギーロスや機器の摩耗を招きます。 - 口径の大きいエアー配管を敷設
配管内の容量を増やすことでバッファー効果を得られますが、施工コストが増大します。
エアータンク導入による圧力安定化の原理
エアータンクを導入することで、圧力変動を以下のように抑えることできます。
- 圧力の脈動を平準化
コンプレッサーは圧力の変動に応じて運転しますが、エアータンクが変動を吸収し、安定した供給を実現します。 - 急激な圧力低下を防止
生産設備が瞬間的に多量のエアーを消費した場合でも、エアータンク内の充填エアーが供給されることで圧力低下を抑制します。
エアータンク導入時の注意点5つ
1、容量選定のミス
エアー供給量や使用量に対してタンクの容量が小さすぎると、圧力変動を十分に抑制できず、効果が得られません。
2、送気能力の確認
吐出能力や配管の口径が適切でない場合、エアータンクを設置しても効果が発揮されません。
3、設置場所の誤り
エアータンクの設置場所によって効果が変わります。適切な場所に設置しないと、圧力変動の抑制効果が薄くなる場合があります。
4、第二種圧力容器化
タンク容量が一定以上になると法規制の対象(第二種圧力容器)となり、法定検定や年1回の定期自主検査が義務付けられます。
5、メンテナンス不足
タンク内部で錆や異物が発生すると、エアーの品質が低下し、生産設備に悪影響を及ぼす可能性があります。定期的な清掃とメンテナンスが必要です。
圧力変動を抑える設計のポイント
適切なエアータンクの選定と設置は、圧力変動を抑えるために非常に重要です。ポイントを紹介します。
設置場所の選定ポイント
エアータンクを設置する場所は2パターン
- コンプレッサーのすぐ後
圧力脈動を平準化し、コンプレッサーの運転を安定させる効果があります。 - 間欠作動のエアー使用設備の手前
一時的に多量のエアーが消費される場合、タンク内のエアーが供給されることで急激な圧力低下を防ぎます。

コンプレッサーのすぐ後に設置する際のポイント
エアータンクの容量はコンプレッサー能力を基に計算
- エアータンクの容量は供給流量と設備使用流量を基に計算
コンプレッサーの空気吐出量の 15%~25% を目安とします。
コンプレッサーのすぐ後に設置するエアータンクの簡易的な容量計算式
コンプレッサー種類 | 特徴 | 選定の目安 | 例 |
---|---|---|---|
レシプロコンプレッサー | 脈動が多い | 吐出空気量の25%ぐらいの容量 | 10馬力のコンプレッサー(1000L/min)をお使いの場合 1000L/min × 0.25 = 250 ⇒250L以上の容量タンクをご用意した方が望ましいです。 |
スクロールまたはスクリューコンプレッサー | 脈動が比較的少ない | 吐出空気量の15%〜20%くらいの容量 | 10馬力のコンプレッサー(1000L/min)をお使いの場合 1000L/min × 0.15 = 150 ⇒150L以上の容量タンクをご用意した方が望ましいです。 |
間欠作動のエアー使用設備の手前に設置する際のポイント
エアータンクの容量は供給流量と設備使用流量を基に計算
- 使用サイクル(時間)内の設備使用流量に対して供給流量が間に合うか検討
供給量が間に合わない場合は、エアータンクを設置しても効果がありません。
使用サイクル(時間)内の消費量に対する供給量

エアータンク導入の手順
1、現状の確認
現場のエアー消費量、供給量、および圧力変動の状況を詳細に把握します。
2、最適な容量の選定
現状確認データに基づき、適切なタンク容量を計算します。
3、設置場所の決定
コンプレッサーの後、または使用設備の手前など、最適な場所に配置します。
4、定期メンテナンス
タンク内部の清掃や点検を定期的に行い、性能を維持します。
よくある質問
主に容量や材質で異なります。現場のニーズに合わせて選択可能です。
容量や設置条件によりますが、一般的には中型タンクで50万~70万円程度です。
工場ペディア編集部からのメッセージ
エアー配管設計と圧力変動対策の重要性
エアー配管設計と圧力変動対策は、生産効率やエネルギーコストに大きく影響します。特に、エアータンクの適切な導入は、安定稼働や省エネルギー化の実現において重要な役割を果たします。
これからの工場運営では、エネルギー効率や持続可能性を考慮した設備設計が求められます。本記事の内容が、効率的で持続可能な運用への参考になれば幸いです。

この記事を監修した人

榊原 均
豊安工業株式会社 プラント管理部1課 課長
資格:1級管工事施工管理技士
得意分野:プラント配管工事及び給排水衛生設備配管工事
15年以上にわたり工場や事務所の新築・改修・修繕・改善工事の施工管理を担当。配管設備の設計や営業にも従事し、配管および付帯機器の選定に関する高度な知識と経験を有する。豊富な現場経験を活かし、大規模な工事から細やかな改善工事まで幅広い対応力を発揮している。