今重油ボイラーを使用していますが、CO2削減を考えていて、ガスボイラーに更新することを考えています。
更新するとどのようなメリットがあるのでしょうか?
ガスボイラーへ更新することで、今回の事例だとCO2排出量を年間30%削減することができました。
さらに、燃料のクリーンさから効率も向上し、重油使用時に必要なタンクもなくなり、残量の確認や補給の手間もなくなります。
年間30%の削減はすごいですね!CO2削減だけでなく、維持管理の手間も軽減できるのは助かります。ガスボイラーに更新する場合はどのような工程ですか?
現状の現場調査を行い、ガス設備のインフラの状況の確認、機器レイアウトから更新工事までトータルでご提案いたします。
設置後の運用のアドバイスやメンテナンス体制も整えていますし、設備導入時の補助金活用のサポートも行います。
CO2削減と省エネの重要性
工場設備の更新において、CO2排出量の削減と省エネは重要な課題です。特に重油ボイラーを使用している場合、燃料のクリーン化は大きな改善策となります。ガスボイラーへの更新により、CO2排出量の削減や環境負荷の低減を実現し、さらに補助金の活用でコストを抑えることができます。
ガスボイラーが選ばれる理由
ガスボイラーは、燃料がクリーンであるため、重油ボイラーに比べてCO2排出量が少なく、効率が高いという利点があります。燃料がクリーンなため、ボイラー内に煤が付着せず、高効率を維持できます。さらに、最新のガスボイラーは機器効率も向上しており、省エネ効果が期待できます。日常管理の手間(重油残量の確認、手配、受入れ)が削減できる点も大きなメリットです。
重油ボイラーからガスボイラーへ更新する4つの理由
機器・燃料特性
ガスボイラーは燃料がクリーンで、CO2排出量が少なく、効率が高いという利点があります。ガスボイラーは排気から熱を最大限に回収できるため、効率が高いです。一方、重油ボイラーは長期間使用すると、煤の付着により効率が3~5%低下します。
ガスボイラーは燃料に煤の成分がないため、効率低下が起こらず、長期的に高効率を維持できます。
危険物施設、関連法令
重油を扱う場合には、消防法で定められた点検対応が求められ、重油貯蔵には有資格者の選任が必要です。また、設備の老朽化に伴い、法律・条例の変更により規制対応が必要になることが増えています。
ガスボイラーは消防法(危険物設備)の適用を受けないため、導入が増加しています。
メンテナンスメリット
重油ボイラーでは、バーナーにカーボンが付着し燃焼不良が起こる恐れがあるため、定期的な清掃が必要です。ガスボイラーはカーボン付着がないため、バーナーの清掃手間が減少します。
環境
重油設備は、燃料漏洩が環境に大きな影響を与えるリスクがあります。重油ボイラーの燃焼不良による黒煙の発生も懸念されます。
更新する際の準備と流れ
ガスボイラーへの更新には、初期費用や工事の手間がかかり、機器レイアウトの変更や設置工事には一層の注意が必要です。だからこそ、適切な計画と専門家のサポートが不可欠です。
① 燃料の選定
どのガスの供給が可能なのか(都市ガス、プロパンガス)を確認します。現状の燃料使用量を把握し、規模に応じた最適なガス燃料を選びます(燃料使用量によって単価が異なるため)。
② 機器選定
既存設備の能力を確認し、お客様の要望をお聞きした上で、最適な機器メーカーを選定します。
③ 配置レイアウト検討
工場の蒸気使用先や今後の計画を踏まえ、現在のボイラー設備の位置とレイアウトが最適かどうかを検討します。
④ コスト
ガスボイラーは重油ボイラーに比べて機器コストが約2割高めですが、専門家の適切な選定が重要です。
参考価格:2,000kg/hボイラーの場合、600万~900万円。
専門家がレイアウトのご提案をしています
豊安工業では、現状設備の能力調査を行い、お客様の運転状況や使用状況を把握することで、省エネや設備改善を含めた最適な提案を行っています。
補助金活用とトータルサポート
ガスボイラーへの更新では、補助金を活用することで初期費用を抑えることが可能です。補助金の種類によって異なりますが、更新機器の1/3や、工事金額全体の1/3が補助されることがあります。補助対象となる金額は補助金の内容によって変わります。
さらに、機器レイアウトから更新工事、設置後の点検や修理に至るまで、トータルサポート体制が整っています。これにより、更新のコストと手間を最小限に抑え、設置後も安心してご使用いただけます。
CO2削減のための様々な補助金があり、活用できる可能性があります。
- 経済産業省からの補助金
- 環境省からの補助金
- 県、市町村からの補助金
公募の期間は毎年、申請が5月頃の補助金が多いです。
補助金を検討する場合には事前に更新、資金計画を立てておくことが重要になります。
実際の更新事例と効果
ある工場では、重油ボイラーからガスボイラーへの更新を行い、CO2排出量を年間で30%削減することに成功しました。また、補助金を活用することで初期費用を30%削減し、更新後のメンテナンスコストも大幅に低減しました。この事例は、ガスボイラーへの更新が環境と経済の両面で効果的であることを示しています。
※補助金の状況により異なります
補助金を活用し、ボイラーを1基体制から2基体制へリスク分散
問題点
使用していた重油ボイラーの故障頻度が増え、工場の操業に与えるリスクが大きくなったため、新しいボイラーへの更新をご希望いただきました。お客様のお困りごとは、ボイラーが1基しかなく、故障停止した場合に工場の操業が停止してしまうという不安でした。
改善提案内容
ボイラーの稼働状況を調査したところ、工場稼働の最初の1時間は1,500kg/h使用しているが、その後は1,000kg/hしか使用していないことが分かりました。また、日常管理においても、機器や配管が煩雑になっていることが明らかになりました。
お客様には、工場の稼働状況に合わせた運転と操業停止のリスク分散を考え、1,000kg/hのボイラーを2基設置するご提案をしました。CO2削減にも取り組みたいとのご要望があったため、ガス化の提案も行い、喜んでいただけました。
改善効果とお客様からの声
手間を減らし、イニシャルコスト削減のために補助金の活用を提案し、工場の操業に支障をきたさないよう、安全第一で施工しました。お客様からは、工事費用を低減できたことに加え、安心して操業できるとの評価をいただきました。
施工後、お客様からは、「ボイラー室内をリニューアルでき、以前よりも使い勝手が良くなりました。1基体制から2基体制になったことでリスク分散ができ、安心して操業できます。また、打合せから官庁への届出のアドバイス、完工までトータルサポートしていただき助かりました。補助金活用の提案はありがたかったです。ランニングコストも削減でき、9年で設備投資の回収が可能との試算のおかげで、社内での稟議もスムーズに進めることができました。」との声をいただきました。
どんな設備でも経年劣化によって更新することは避けられません。
単純に同等機器に更新するだけでなく、現在の様々な状況を踏まえてトータルに判断し、ベストな提案ができるよう努めています!
CO2年間28%削減実現の事例
重油ボイラー2基をガスボイラーへ更新
既存の重油ボイラー(2,000kg/h×2基)をガスボイラーに更新し、都市ガスの引き込み導入と、危険物施設である重油設備の廃止を行いました。
重油ボイラーから都市ガスボイラーに更新した場合の工事金額、CO2削減量
更新機器金額:15,000万円
補助金額:480万円
年間CO2削減率:−28%
点検・検査当日までの流れ
1.ご相談
お問い合わせフォームよりご相談ください。
お電話でのご相談も承っております。ボイラーの型番がわかれば、現地調査しなくてもお見積り可能です。
2.現地調査
ボイラーの状態、使用状況・稼働状況などをご担当者様のご同行のもと現地調査をします。
3.お打ち合わせ
調査と共にお客様のお悩み事をヒアリングし、課題解決のため機器配置などの案をプランニングをいたします。
4.見積書の提出
お打合せ内容をもとに見積書を提出いたします。予算に応じて見積書の確認、調整も行います。
5.施工
専門知識を生かし、安全第一での施工を心がけます。操業に支障をきたさないよう工程調整プランニングをいたします。
6.アフターフォロー
施工後のアフターフォローもお任せください。
定期点検、予防保全提案、万が一のトラブル対応も迅速に行います。
よくある質問
更新の規模やボイラーの種類によりますが、補助金を活用することで初期費用を大幅に抑えることができます。
当社では補助金の申請サポートも行っておりますので、安心してお任せください。
現在使用中の機器情報、年間重油使用量、年間蒸気使用量などのデータがあれば試算可能です。
まずは、気軽にお問い合わせください。
工事の規模や工事内容によって異なりますが、
参考価格:2,000kg/hボイラー1基の場合
機器金額:600万~900万(補助金活用の場合:400万~600万)
総工事金額:1,000万~1,500万(参考価格)です。
工場ペディア編集部からのメッセージ
CO2削減と省エネの未来へ
ガスボイラーへの更新は、CO2削減や省エネ効果を実現するための重要なステップです。環境負荷の低減やコストダウンを図りながら、持続可能な未来を目指しましょう。当社では、機器レイアウトから補助金申請のサポート、設置工事、設置後のアフターフォローまで、トータルでサポートいたします。お困りごとがありましたら、ぜひご相談ください。
この記事を監修した人
谷川 暢
豊安工業株式会社 アクアエンジニアリング部
資格:一級ボイラー技士、ボイラー整備士、一級管工事施工管理技士、第二種電気工事士
得意分野:蒸気ボイラー熱源設備、水処理設備
2000年に入社後、ボイラーの点検・メンテナンスを経て、蒸気ボイラー熱源設備の施工管理を担当。2020年に水処理設備関係業務へ転向。機器の修理・メンテナンス、蒸気配管の管工事施工管理に豊富な経験があり、機械製造工場や食品工場など、蒸気およびエネルギーを使用する企業の対応を行なっている。