建物の梁や柱の耐震補強工事現場に、既設配管が干渉!ただ配管を迂回するだけでなく配管ルートから見直した事例

今度、建物の耐震補強工事を行うことになリました。
梁や柱の周辺にある既存のエア配管が工事現場に干渉してしまうため、迂回をお願いしたいのですが可能でしょうか?

せっかくコストをかけて工事を行うのですから、ただ迂回させるだけでなく、不要な配管や配管ルートの見直しも兼ねて工事をしてみてはいかがでしょうか?

なるほど、それなら不要な配管や現状の配管ルートを調べていただき、最適な配管迂回を考えていただけますか?

わかりました。
では、補強工事を行う所を教えていただき、干渉する配管の調査をします。
不要なものは撤去、ルート変更を行うものは最適なルートをご提案させていただきます。

目次

工場内の設備や建築物の増設などにより、
配管ルートの見直しが必要となった

工場内の設備増設、補強など様々な要因で配管ルートの変更を余儀なくされることは多々あります。

また、それに伴い、流体を停止させる必要があるため、その影響がどれほどになるかも検討する必要がありました。

工場内には設備、配管、電管、空調など様々なものが設置されています。何がどこにいっているのかわからない、どのように迂回をすればよいかわからないなど、手をつけたくてもつけられない状態になっていました。

写真のように、ぱっと見ても何の配管系統かわからないことが多いのが現状です。

柱に耐震補強をしたくても、何の系統なのか、どこで使用しているのかなどを調査する必要がありました。また、老朽化に伴い更新したい箇所や、未使用で撤去できる不要な箇所など配管の精査が必要でした。

この梁にある配管は何の系統?

まずは何がしたいのか、目的をヒアリングをさせていただきます。
目的がずれてしまうと、出来上がりもずれたものになってしまいます。

ここからが私たちの腕の見せ所。
現状がどのようになっているのか、現地にて調査を行わさせていただきます。

何をするのも、まずは現状把握が一番大切です。

現状を把握することにより、課題に対してどのように対処すればよいかが見えてきます。

現地調査の結果を図面としてまとめ、どうしたらよいかご提案をさせていただきます。

今回ではエア配管が対象となったのですが、実際に耐震工事を行うために干渉する配管系統の調査を行い、ルートを変更するだけでなく、不要な配管や老朽化している配管も撤去し、配管ルートをすっきりさせることをご提案させていただきました。

また、工事手順を考えて、エアを停止する時間を最小限に抑え、エア停止を休日1日で終わるよう予定を組みました。

計画を立てて、いよいよ工事を開始。

しかし、工事をする前にお客様の製品や安全への配慮も忘れずに、養生を行ったり、脚立・梯子が立てられない所は足場を組んだり、工事だけでなく準備も念を入れて行います。

今回の工事では1階から3階まで大幅なルート変更を行うため、床に穴をあけ、そこへ配管を通すことを行いました。ただ穴をあけるのではなく、床の強度を最小限に抑えるために、レントゲン撮影を行い、鉄筋を切らないように施工をしました。

配管を通すルートができ、やっと配管施工です。どの配管をどこへ接続するか、協力業者さんと共に打ち合わせしながら進めていきます。

やっと耐震補強に干渉する配管の迂回が完了しました。写真は3階の貫通配管が完了したところです。

ただ迂回させるだけではなく、その後の管理やメンテナンスなど、お客様にとって何か最適なのか第一に考え、ご提案します。

お客様情報愛知県名古屋市 電気機器メーカー様
施工規模3階建て工場
1階 柱×4本、梁×12本
2階 柱×4本、梁×11本
3階 柱×4本、梁×3本
の耐震補強に伴う配管迂回
工期2022年1月~2022年5月
エア停止期間休日2日間
  • 配管ルートがすっきりできた
  • 配管調査を行って、記録(図面化)できた
  • エア停止時間を極力短い時間(休日のみ)で工事することができた
  • 不要な配管を撤去することができた

工事を行うにあたり、どこまで、いつまでにできるか心配でしたが、工事予定を上手に組んでいただき、思ったよりも短納期で施工していただけました。

事前に現状を調査、把握して、どうしたら早くできるかを考えてもらえたことが、結果につながったと思います。

プロとして、やって当たり前なのかもしれませんが、当たり前にできることが安心につながり、問題なく工事を依頼することができました。これからもよろしくお願いします。

普段の会話が大切

建物の耐震補強工事ということで、当社とはあまり関係がないように思われると思います。

たまたま柱や梁に配管があり、それが干渉するから迂回したいという話だけであったら、今回のように配管ルートの見直しや、不要な配管の撤去といった話にまで広がらなかったかもしれません。

日頃より配管に関して疑問に思っていること、課題に思っていることなど、普段から気軽にお話をしていただけたからこそ、ここまでできたのだと思います。

お客様とよりよい関係を作ることが、よりよい工場への第一歩と考えております。些細な事でもお気軽にご相談ください。

この記事を監修した人

高須 康太郎

高須 康太郎

豊安工業株式会社 第2プラント管理部
資格:管工事施工管理技士 1級
得意分野:給排水衛生設備工事

製造業を中心とする食品工場や自動車部品工場、中小企業から1部上場企業まで幅広いクライアントの建物の改修や新築工事における給排水衛生設備工事を多く経験している。社内での教育活動やお客様向けの勉強会においても、その専門知識を活かし給排水衛生設備工事について指導している。

工場ペディア監修

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