配管洗浄で詰まり・流量低下を改善!
高圧洗浄の注意点と工場のトラブル解決事例 

最近、排水配管の流れが悪く、設備のトラブルが気になっています。配管の中は見えないので、どこに問題があるのか分かりません。配管を交換するしかないのでしょうか?

配管の詰まりが原因であれば、洗浄によって改善できる場合があります!
ただし、配管の劣化が進んでいると、高圧洗浄で穴が開くこともあるため、事前に状態を確認することが大切です!

いきなり洗浄するのではなく、まずは調査なのですね!

その通りです!
配管の詰まりは、送水不良だけでなく、ポンプへの負担や生産ラインの停止にもつながります。今回は、配管洗浄によって送水機能や計測機能を回復させた2つの事例と、洗浄時の注意点をご紹介します!

目次

工場の配管は、外から見ただけでは内部の状態が分かりません。水や排水が流れているうちは問題がないように見えても、少しずつ汚れがたまり、流れにくくなっていることがあります。 

特に注意したいのが、長年使用している配管や、固形物を含む排水を送る配管です。洗浄や更新を行わないまま使用を続けると、内部に付着物が蓄積し、流路が狭くなることがあります。 

配管の詰まりを見つけるには、完全に流れなくなる前に、流量や圧力の変化を確認することが大切です。

配管内部に付着・蓄積するものは、流している液体や設備の使用状況によって異なります。 

  • ヘドロ(汚泥): 排水などに含まれる細かな固形物や有機物などが沈殿し、配管内部にたまったものです。 
  • スケール: 水中の成分などが析出し、配管内面に固く付着したものです。 
  • さびや腐食生成物: 金属配管の腐食によって発生した物質が、流れを妨げる原因になることがあります。 
  • その他の固形物: 製造工程から流れ込んだ異物などが、曲がり部分や流速の遅い場所にたまる場合があります。 

これらの付着物が増えると、配管内部の水が通る部分が狭くなります。 

同じ流量を確保しようとすると、配管の圧力損失(圧損)が大きくなり、ポンプに必要な揚程が増えることがあります。 設備の運転条件によっては、送水量の低下や消費電力の増加につながります。

  1. 生産ラインが停止する
    必要な水や排水を送れなくなると、設備の運転条件が維持できず、生産ラインの停止につながることがあります。 
  2. タンクがオーバーフローする
    排水が十分に送れないと、タンク内の水位が上昇し、あふれた排水の清掃や設備復旧に手間がかかります。 
  3. ポンプへの負担が増える
    配管の詰まりによって運転状態が変化すると、ポンプの種類や条件によっては振動、過熱、故障などにつながるおそれがあります。 
  4. 流量計が正常に測定できなくなる 
    流量計の方式によっては、測定部への付着物などが原因で、正常な計測ができなくなる場合があります。 

配管の詰まりや設備の計測不良に対して、実際にどのような対応が行われたのでしょうか。 
ここでは、愛知県の自動車工場で行われた2つの改善事例をご紹介します。 

1つ目は、排水が送れなくなった配管を高圧洗浄と吸引によって改善した事例です。
2つ目は、流量計の測定部を洗浄して、計測機能を回復させた事例です。 

  • 地域:愛知県
  • 業種:自動車工場
  • 工期・体制:2日間・作業人数4人
  • 予算:約40万円

問題点|排水を送れなくなった配管

愛知県の自動車工場で、排水の圧送配管が送水できなくなるトラブルが発生しました。 
圧送配管とは、ポンプの力を使って液体を送り出す配管のことです。この配管が詰まると、必要な場所まで排水を送れなくなります。 

調査内容|配管の内部に何が起きていた?

原因を確認するため、配管の開放を行い、配管内部の調査を実施しました。 

調査の結果、配管内にヘドロやスケールが固着していることが分かりました。これらの付着物が配管内部をふさぎ、排水が流れにくくなっていたと
考えられます。 外から見ただけでは分からない配管内部の状態を確認できたことが、対策を決めるうえで重要でした。 

今回のように、配管の内部に付着物がたまっている場合は、その状態に応じた洗浄方法を検討する必要があります。 

提案・工事内容|高圧洗浄と吸引を組み合わせて詰まりを除去

配管口径:40A
ヘドロ詰まり洗浄前
配管口径:40A
洗浄後

今回の工事では、配管内に固着したヘドロやスケールを除去するため、高圧洗浄とバキューム車による吸引を行いました。 
高圧洗浄は、水の圧力を利用して配管内部の汚れや付着物を除去する方法です。一方、バキューム車は、排出された汚泥などを吸引・回収するために使用します。 

高圧洗浄で付着物を除去し、バキューム車で吸引する方法を組み合わせたことが、今回の工事の特徴です。 
工事は4人の作業員で、2日間かけて行われました。工事費用は約40万円でした。 

成果|排水が再び流れる状態に改善

高圧洗浄とバキューム車による吸引を行った結果、排水が流れる状態に改善しました。 今回の工事では、配管そのものを更新するのではなく、内部に固着していた付着物を取り除くことで、送水機能を回復させています。 

配管の詰まりを解消できたことで、排水を送れないという現場の困りごとを解決できました。 

お客様の声|配管の中がこんなに詰まるとは!

「写真を見て、配管がこんなに詰まるものだとは思いませんでした。やってよかったです!」 

  • 地域:愛知県
  • 業種:自動車工場
  • 工期・体制:2日・作業人数2人
  • 予算:約20万円

問題点|流量計が正常に計測できない

愛知県の自動車工場で、流量計が計測できなくなるトラブルが発生しました。

流量計は、配管を流れる液体などの量を把握するための設備です。正常に計測できなくなると、設備が適切な条件で運転しているか判断しにくくなります。 
流量計の不具合は、機器本体の故障だけでなく、測定部の状態が関係する場合もあります。 

今回の工事では、計測機能を回復させるため、流量計の測定部を洗浄することになりました。 

調査内容|測定部の状態確認が大切 

一般的に、流量計が計測できなくなった場合は、電源や配線、機器の異常表示、配管内の流れ、測定部の汚れなどを確認します。 ただし、確認すべき項目は流量計の種類によって異なります。 
測定部に汚れが付着すると計測に影響する方式もあるため、機器の仕様を確認したうえで原因を調べることが大切です。 

提案・工事内容|流量計の測定部を洗浄 

流量計:150A
錆の詰まり洗浄前
流量計:150A
洗浄後

今回の工事では、流量計の測定部を洗浄しました。 
流量計の測定部は、流れている液体の状態を検出する重要な部分です。測定方式によっては、この部分に付着物があると、正常な計測を妨げることがあります。 
今回の工事は、作業員2人で1日かけて行われ、工事費用は約20万円でした。 

成果|流量計が再び計測できるように 

流量計の測定部を洗浄した結果、正常に計測できる状態に改善しました。 
流量計は、設備の運転状態を把握するうえで重要な機器です。計測機能が回復したことで、再び流量を確認できるようになりました。 

今回の事例は、流量計の不具合が発生した際に、機器本体の故障だけでなく、測定部の状態にも目を向けることの大切さを示しています。 

お客様の声|今後も定期的に洗浄したい

「今後も定期的に洗浄を行いたいです。」 

流量計の測定部を洗浄し、計測できる状態に戻ったことを受けて、お客様からは継続的な洗浄への意向が示されました。 
設備の不具合が起きてから対応するだけでなく、定期的な点検や洗浄を保全計画に取り入れることも、安定した設備管理につながります。 

今回の2つの事例では、配管の送水不良と流量計の計測不良という異なるトラブルが、洗浄によって改善しました。 
共通して押さえたいのは、洗浄する前に設備の状態を確認し、どこに問題があるのかを見極めることです。 

特に、古くなった配管では注意が必要です。汚れを落とすことばかり考えて高圧洗浄を行うと、配管の状態によっては別のトラブルが発生することもあります。 

  • 洗浄前に配管の状態を確認する
    配管の詰まりが疑われる場合でも、すぐに高圧洗浄を始めるのはおすすめできません。 
    配管の材質、使用年数、腐食の状態、流れている液体の種類などを確認することが大切です。 特に、長期間使用している金属配管では、腐食によって配管の肉厚が薄くなっている場合があります。 
    肉厚が薄くなった配管に高圧洗浄を行うと、穴が開くおそれがあります。 必要に応じて肉厚測定などを行い、洗浄に耐えられる状態か確認しておきましょう。 
  • 詰まりやすい配管は定期洗浄を検討する
    固形物を含む排水が流れる配管や、過去に詰まりが発生した配管では、定期的な点検と洗浄が重要です。 
    ただし、すべての配管に同じ洗浄周期を設定すればよいわけではありません。 流れている液体の性質や配管の構造、
    過去の詰まりの頻度などを踏まえて判断します。
     洗浄前後の流量や圧力、付着物の状態を記録し、次回の洗浄時期を判断する材料として残すことも効果的です。 
    洗浄した直後の状態を基準として記録しておけば、その後の変化に気づきやすくなります。 

配管の中は、普段の巡回点検では確認しにくい場所です。水が流れている間は問題がないように見えても、内部では少しずつ汚れがたまっているかもしれません。 

今回ご紹介した2つの事例では、配管内部や流量計の測定部を洗浄することで、送水機能や計測機能を回復できました。 
一方、古い配管では腐食や減肉が進んでいる場合もあります。洗浄すればよいと決めつけず、配管の状態を確認し、必要に応じて更新も検討することが大切です。 配管の圧損を抑え、設備を適切な状態で運転することは、条件によってはポンプの省エネにもつながります。

設備の安定稼働と省エネの両方を考えながら、無理のない保全計画を立てていきましょう。 

この記事を監修した人

岩田 一希

豊安工業株式会社 プラント管理部1課
資格:2級管工事施工管理技士、給水装置工事主任技術者、第二種電気工事士
得意分野:プラント配管工事

自動車部品製造工場を中心に、配管・配管設備の営業および施工管理を担当。配管および付帯機器の特性理解や適切な機器選定、施工方法の実務知見をもとに監修を行う。