地震に強い埋設配管へ更新するには?ポリエチレン管の特徴と漏水・地盤沈下対策を解説

工場の埋設配管が古くなっています。
地震や地盤沈下も考えると更新したほうがよいと思うのですが、地中なので状態が見えず、
どこから手を付けるべきか悩んでいます。 

埋設配管は異常を目で確認しにくく、漏れてから気付くケースがあります。
更新するのであれば、既設管をそのまま同じ材質に交換するのではなく、流体や圧力、埋設環境まで
確認して管材を選ぶことが重要です!

古い配管を新しくするだけではなく、地震や腐食も考えて、材質から見直すということですね!

その考え方が大切です!
ポリエチレン管も選択肢の一つです。柔軟性や耐食性という特徴がありますが、使用条件に適した管材かを確認したうえで採用しましょう!

目次

地中にある配管は、工場内を歩いて点検しても状態を確認しにくい設備です。「今まで問題なく使えているから」と後回しになりやすいところですが、漏水して初めて異常に気付くこともあります。 

特に地震や地盤沈下、腐食などを考える場合は、破損箇所だけを直すのではなく、系統ごとに優先順位を決めて更新することが重要です。

  • 漏洩箇所を探すのに時間とコストがかかる 
    地中では漏れている場所を直接確認できないため、調査範囲が広くなることがあります。  
  • 給水コストが増える 
    給水管で漏水が続けば、使っていない水にも費用がかかります。
  • 設備停止につながることがある 
    給水が必要な設備では、不慮の漏れによって運転に影響が出る場合があります。  
  • 排水配管では周辺環境への影響も考える必要がある 
    流体の種類によっては、漏洩時の土壌への影響まで考えなければなりません。 
  • 地震や地盤沈下による変位も考える 
    埋設配管では、管材だけでなく、継手や接合部を含めた検討が重要です。

埋設配管は見えない分、「まだ大丈夫」という判断が難しい設備ですね。

そのため、異常が出た系統だけを見るのではなく、使用年数や重要度も含めて、更新順位を整理しておくことが大切です!

埋設配管を更新するとき、選択肢の一つになるのがポリエチレン管です。柔軟性があり、金属管とは異なる特徴を持つため、地盤変位や腐食を考慮した配管更新で検討されます。 

ただし、「ポリエチレン管に替えれば安心」と考えるのではなく、使用する流体や圧力、温度、施工環境などを確認したうえで選定することが基本です。 

ポリエチレン管には柔軟性があります。そのため、地震や地盤沈下を考慮した埋設配管の管材候補になります。 
ただし、耐震性は管だけで決まるものではありません。接合方法や継手、施工状態なども含めて検討する必要があります。 

鋼管などの金属管では、土壌や水分などの条件によって腐食への対策が必要です。ポリエチレン管は、金属管と腐食の仕組みが異なるため、腐食対策という面でも検討しやすい管材です。 

ポリエチレン管は埋設だけでなく、条件によっては露出配管にも使用できます。 
一方、架空で施工する場合には注意が必要です。鋼管と比べて支持間隔を狭くする必要があるため、管材だけでなく支持方法まで含めて設計することがポイントです。 

地域:愛知県
業種:自動車部品工場
工場規模:従業員1000人
施工規模:中規模工事
工期・体制:約1週間
予算:約300万円
配管口径:φ50
配管長さ:約100m 

問題点

工場では、埋設した配管で流体を圧送する必要がありました。地中に設置するため、漏洩が発生すると発見や原因特定に時間がかかることが懸念されます。また、漏れた流体による土壌への影響も考える必要があり、長期使用を見据えた管材選定が課題となっていました。

改善内容

埋設環境や圧送条件を踏まえてポリエチレン管による敷設を提案しました。配管を単純に新しくするのではなく、地震や地盤沈下、腐食などを考慮し、使用場所に合った管材へ見直すことが今回のポイントです。 

給水用のポリエチレン管では、青色の物を使用しました。こちらは水道用に認可されております。

排水用のポリエチレン管では、灰色の物を使用しました。こちらは下水用に認可されております。
固形物込みの圧送ということもあり、曲がり部分は大曲り継手を使用しました。

お客様の声

今回の工事では、埋設配管からの漏洩による土壌への影響を考慮し、ポリエチレン管を採用しました。土壌汚染リスクを考慮した設備対策として、将来を見据えた配管更新につながりました 。

工場全体の埋設配管を一度に交換するとなれば、費用も工期も大きくなります。だからこそ、系統ごとの重要度を整理して計画的に進めることが現実的です。 

  • 事前調査を行って、更新する系統の優先順位を整理する 
  • 漏洩したときに生産への影響が大きい系統から検討する 
  • 排水など、漏洩時に周辺環境への影響が考えられる系統を確認する  
  • 地震や地盤沈下の影響を考慮する 
  • 流体、圧力、温度、設置環境に合わせて管材を選定する  
  • ポリエチレン管を架空で使用する場合は支持間隔にも注意する  

特に避けたいのが、「古くなった鋼管だから、別の材質に替えればよい」という決め方です。配管材質は流体と使用環境に合わせて適材適所で
選定することが、更新後のトラブルを減らす基本になります。 

Q
ポリエチレン管なら地震が起きても破断しませんか?
A

破断しないと断定することはできません。ポリエチレン管は柔軟性を持つため地盤変位を考慮した配管に適していますが、実際の耐震性は接合部や施工方法、埋設条件などにも左右されます。 

Q
古い埋設配管は、すべてポリエチレン管へ替えたほうがよいですか?
A

 一律に交換する必要はありません。流体、圧力、温度、設置場所などによって適した管材は変わります。まず既設配管と使用条件を
調査し、系統ごとに適した材質を選びましょう。 

Q
埋設配管は見えません。漏れる前に更新時期をどう判断しますか?
A

使用年数だけでなく、過去の漏洩履歴、管材、使用流体、地盤や周辺環境、停止した場合の生産影響などを整理します。複数の条件から優先順位を付けて更新計画を立てると、工場全体を一度に更新する負担を抑えやすくなります。 

Q
ポリエチレン管は地中でしか使えないのでしょうか?
A

埋設だけでなく、条件に応じて露出配管にも使用できます。ただし架空配管では、鋼管と比較して支持間隔を狭くする必要があります。使用場所に応じた支持方法まで検討しましょう。 

 見えない埋設配管だからこそ、壊れる前に優先順位を決めて更新計画を 

埋設配管は、普段の巡回だけでは状態をつかみにくい設備です。地震や地盤沈下、腐食などによって漏洩が起きてから場所を探すとなれば、
保全担当者の負担だけでなく調査や修理のコストも大きくなりがちです。 

だからこそ重要なのは、「古いから全部交換」ではなく、系統ごとのリスクを整理すること。生産への影響や流体の種類、使用環境を確認し、
優先順位を付けながら管材も見直していきましょう。 

漏洩を抑える取り組みはBCP対策だけでなく、水資源の無駄や周辺環境への影響を抑えることにもつながります。長く安心して使える工場を目指すうえでも、埋設配管を「見えない設備のまま」にせず、計画的な更新対象として管理していくことが大切です。 

この記事を監修した人

榊原 均

榊原 均

豊安工業株式会社 プラント管理部1課 課長
資格:1級管工事施工管理技士
得意分野:プラント配管工事及び給排水衛生設備配管工事

15年以上にわたり工場や事務所の新築・改修・修繕・改善工事の施工管理を担当。配管設備の設計や営業にも従事し、配管および付帯機器の選定に関する高度な知識と経験を有する。豊富な現場経験を活かし、大規模な工事から細やかな改善工事まで幅広い対応力を発揮している。