
夏場にクーリングタワーを使用して冷却水を使っていたんですが、温度が下がらず、チラーを設置しました。でも、夏場はチラーが必要なのですが、冬場はクーリングタワーだけで済む気がして、もったいないし、電気代がかなり気になっています!

実は、その悩みは多くの工場であります。冬場は外気温が低いため、クーリングタワーだけで必要水温を満たせるケースも少なくありません。

でも、チラーを止めて冷却不足になるのは怖いですね。

そのため、水温や外気温を見ながら自動で切替える制御を行います。必要な時だけチラーを運転する形にすると、電気代の見直しにもつながります!
なぜ冬場もチラーを運転し続けてしまうのか?
工場の冷却設備は、生産設備を守る重要なインフラです。そのため、「止めて不具合が出るくらいなら、動かしておこう」という運転になりやすいですね。
特にチラーは、安定した冷却ができる反面、消費電力も大きい設備です。冬場でも同じ運転を続けていると、必要以上にエネルギーを使っているケースがあります。
- 夏場はクーリングタワーだけでは冷却不足になりやすい
外気温が高いと、冷却水温度を十分に下げられない場合があります。 - 冬場は外気温が低くなる
クーリングタワーだけでも冷却できる条件が増えます。 - 設備構成上、チラー停止ができない場合がある
自動制御や配管が未対応のケースもあります。 - 「冷却不足が怖い」が現場心理
生産影響を避けるため、従来運転を継続しやすくなります。 - 電気代が増えやすい
必要以上のチラー運転が、工場全体のエネルギーコストに影響します。

確かに、“止めて問題が出るくらいなら…”という考え方になりがちです。

だからこそ、“安全に切替える仕組み”を作ることが重要になります!
チラーとクーリングタワーの電気代比較
| 項目 | チラー運転時 | クーリングタワー単独運転時 |
|---|---|---|
| 想定設備 | チラー+循環ポンプ | クーリングタワー+循環ポンプ |
| 想定消費電力 | 約60kW | 約8kW |
| 運転時間 | 月240時間 | 月240時間 |
| 月間使用電力量 | 14,400kWh | 1,920kWh |
| 電気料金単価 | 25円/kWh | 25円/kWh |
| 月間電気代 | 約360,000円 | 約48,000円 |
| 冬期5か月の電気代 | 約1,800,000円 | 約240,000円 |
冬期(11月~3月)をチラーからクーリングタワーに切り替えるだけで約156万円の差となります。
冬場にチラーを停止し、クーリングタワー単独運転へ切替えた場合の電気代削減イメージです。実際の電気代は、契約電力、電力単価、負荷率、運転時間、外気条件、ポンプ構成により変動します。
配管・制御改造で季節ごとの最適運転を実現した事例
冬場はクーリングタワー単独運転へ切替
業種:自動車部品製造業
地域:豊田市
工場規模:1,000人
施工規模:20人程度
工期・体制:1週間
予算:2000万円程度

問題点
もともと、クーリングタワーを使用し、冷却水を循環させていましたが、夏場の冷却能力不足対策としてチラーを導入していました。しかし、冬場はそこまで低温の冷却水を必要としていない状態でしたが、設備構成上、年間を通してチラーを停止できず、「冬場まで高い電気代をかけて運転し続けている」という課題を抱えていました。特に、クーリングタワーだけでも冷却できそうな気候条件の日でも、運転方法を切替えられない状況となっていました。


改善内容
配管および制御改造を実施し、冬場はクーリングタワー単独運転へ切替できる設備構成へ変更しました。外気温や冷却水温を条件に、チラーとクーリングタワーを自動で切替える制御へ見直した点が大きなポイントです。 また、切替時の温度変動による不安定運転を防ぐため、遅延タイマーなども導入し、段階的に切替えられるよう調整しました。

お客様の声
以前は「冷却不足が怖いから止められない」という考え方でしたが、現在は冬場にチラー停止ができるようになり、電気代の見直しにつながっています。運転切替も自動化されたため、現場での操作負担も減りました。設備を更新するだけでなく、既存設備を活かした運転改善でも省エネにつながることを実感しています。
季節運転を成功させるためのポイント
冷却設備の省エネは、「設備を止める」ことだけが目的ではありません。重要なのは、“必要な温度を安定して維持しながら、ムダな運転を減らすこと”です。
- 必要水温を把握する
実際には、冬場はそこまで低温を必要としていない工程もあります。 - 外気温との関係を見る
クーリングタワーだけで冷却できる条件確認が重要です。 - 自動制御化を検討する
切替忘れや人為ミス防止には、自動制御が効果的です。 - 切替時の安定運転を考慮する
遅延タイマーや段階制御で温度変動を抑えやすくなります。 - 「冷やしすぎ」に注意する
必要以上の冷却は、電気代増加につながる場合があります。
よくある質問
できます。設備構成によって方法は異なりますが、水温や外気温を条件にした制御で対応できるケースがあります。
一般的には外気温、水温、空気温度などを基準に設定します。実際の運転条件を確認しながら調整することが重要です。
切替直後は変動する場合もあるため、遅延タイマーや段階制御を組み合わせて安定化させる方法がよく使われます。
今から導入するならハイブリッドチラーを推奨します
参照:チラーの省エネ更新工事で電気代は下がる? 年間34万円の削減事例と仕組みを解説
冷却する設備への温度が15℃~20℃程度の場合は従来のインバーターチラーよりも外気を取り込んでフリークーリングも行えるエコハイブリッドチラーがおすすめです。

工場ペディア編集部からのメッセージ
「必要な時だけ運転する」という考え方が省エネにつながる
工場では、「設備を止めないこと」が最優先になるため、どうしても安全側の運転になりやすいものです。しかし、今回のように季節ごとの冷却条件を見直すことで、既存設備を活かした省エネ改善につながるケースがあります。
特に近年は、電力コスト上昇やカーボンニュートラル対応への関心も高まっています。設備更新だけでなく、「運転方法を最適化する」という視点を持つことで、CO2削減や持続可能な工場運営にもつながっていきます。

この記事を監修した人

高須 康太郎
豊安工業株式会社 プラント管理部2課 課長
資格:1級管工事施工管理技士
得意分野:給排水衛生設備工事
製造業を中心とする食品工場や自動車部品工場、中小企業から1部上場企業まで幅広いクライアントの建物の改修や新築工事における給排水衛生設備工事を多く経験している。社内での教育活動やお客様向けの勉強会においても、その専門知識を活かし給排水衛生設備工事について指導している。




