現在、工場でチラー(冷却水循環装置)を使用されている生産設備はありますか?今あるチラーを見直すことでCO₂削減による省エネが実現できるかもしれません。
はい、自動洗浄機にチラーを使用してますが電気費用が大きくて困ってます。冷却温度は15℃~20℃程度なんですけど…
それでしたら、エコハイブリッドチラーを使用して、必要な冷水の温度に合わせた機器選定をすることで省エネが期待できるかもしれません。
どのくらい削減できるのか事例を紹介しますね。
まずは冷却しようとしている設備の状況をチェック
冷却対象の設備に合わせてチラー又はクーリングタワーが適しているのか選定します。
チラーもクーリングタワーも冷水を冷やす装置ですが、チラーは能動的にクーリングタワーは受動的に冷水を冷やす装置になります。
チラーは動力源として電気やガスなどを利用しており、外気温度の影響をあまり受けません。
クーリングタワーは動力を持たないで通風により排熱するものなので、外気温度の影響を大きく受けて、冷水を外気温により大幅に低い温度にすることはできません。
- チラー 0℃~45℃程度
- クーリングタワー 外気湿球温度+5℃程度(夏場の場合 27℃+5℃=32℃程度)
またチラーにも種類があり10℃以下の低温度帯に適したチラーや20℃付近の外気温に近い温度に適したチラーがあるのでこの後の項目で条件に合わせて選定していきます。
チラー選定時のチェックリスト
1.空冷式か水冷式かを選定
空冷式
空冷式には放熱のために、水の代わりにファンが設置されていて、奪った熱をそのまま外気中に放出します。
水冷式
水冷式は、凝縮器の放熱を冷却水を使って行う方法です。
空冷式と水冷式の大きな違いは、放熱方法です。空冷式は空気を使い、水冷式は水を使用します。
一般的には水冷式の方が冷却効率が良いと言われています。しかし、冷却水を使用するために別でクーリングタワーと冷却水配管が必要となり設置費用が高額になります。
このために小~中規模の設置においては空冷式を採用することの方が多いです。
2.使用温度
対象設備に必要な冷水の温度を確認します。
必要な温度に合わせて最適な運転の出来るチラーを選定します。
10℃以下の低温度帯に適したチラーや15℃以上のより外気温に近い温度に適したチラーがあるので、現場の状況に応じてより運転の効率の良いチラーを選定します。
3.設置スペースはあるか
チラー本体に加えて外気を取り込むことの出来る空間とメンテナンス出来るスペースがあるか確認します。
水冷式はその他にクーリングタワーや冷却水配管が必要になります。
4.元電源は近くにあるか
チラーの電気容量を確認しそれに合わせた元ブレーカーが近くにあるか確認します。
水冷式はその他にクーリングー、送水ポンプの電源も必要になります。
5.補給水配管は近くにあるか
チラーの冷水の元となる補給水が近くにあるか確認します。
チラーとクーリングタワーの両方のメリットを持つエコハイブリッドチラーとは?
外気温度に左右されず能動的に冷水を供給可能
冷却する設備への温度が15℃~20℃程度の場合は従来のインバーターチラーよりも外気を取り込んでフリークーリングも行えるエコハイブリッドチラーがおすすめです。
もちろん従来のインバーターチラーでも運用出来ますが電気費用の面で高額になります。それに伴いCO₂排出量も多くなってしまいます。
冷却塔でも季節によっては、対応出来る時期もありますが、夏場は30℃以上の日が多いために外気温-5℃以下に冷却できないために必要な温度を安定して供給することができません。
年間消費電力の大幅な削減が年間を通して可能な理由
チラーとクーリングタワーの両方のメリットを持つエコハイブリッドチラーなら季節に合わせて運転のモードを変更することにより年間消費電力の大幅な削減が可能です。
日本の四季で冬季から中間期にかけて外気温が低い時期は、外気を利用したフリークーリングがメインで冷却を行うため年間消費電力の大幅な節電が可能です。
冬季は、外気温が低いのでフリークーリングのみで冷却を行います。
外気温とエコハイブリッドの出口水温が同程度の中間期は、フリークーリングがメインで冷却を行い、フリークーリングの冷却の能力が不足した場合には、チラーが冷却を補います。
フリークーリングを積極的に活用することで、消費電力を抑えることができるので省エネになります。
エコハイブリッドチラー施工事例
省エネ効果あり!カーボンニュートラルへの取り組みとしてCO₂削減可能に
お客様情報 | 愛知県西三河 石油燃焼機器の製造工場T社様 |
施工規模 | 約8,000㎡ |
実施時期 | 7月下旬 |
工期 | 5人(チラー入替・配管工事3人、電気工事2人)×1日 |
施工前の状況 | 自動洗浄機にCKD製のチラーHYW3033を使用 |
お客様のお困りごと…
- 経年による故障及び能力の低下
- 現場状況に合わせた最適なチラーの選定
- 電気費用
省エネ効果があり、カーボンニュートラルへの取組みとしてCO₂削減につながる製品を2つ提案しました。
- 案1 従来型 インバーターチラーRKE11000B1-V 3,640,000円
- 案2 省エネ型 エコハイブリッドチラーFCC15B 3,130,000円
工事費用と省エネ効果を試算し、案2のエコハイブリッドチラーを提案しました。
エコハイブリッドチラーの設置条件としては外気を必要とするので屋外かまたは屋内でも周辺に外気の吸入を妨げる障害物がないスペースが必要となりますが、今回は周辺のスペースが確保出来たので工場屋内に設置できました。
工事は7月下旬に行い最初はモード1のチラー運転が中心でしたが、9月に入ってからはモード2のフリークーリング+チラー運転になる日も増えてきています。
ハイブリッドチラー正面
ハイブリッドチラー背面
冷水配管
モニター
電気代だけで年間約34万円の削減!改善効果のまとめ
以下の条件で既設のCKD製HYW3033、提案1のインバーターチラー、提案2のエコハイブリッドチラーを比較。
【条件】
① 冷却負荷 28kw
② 設定温度 20℃
③ 設置場所 屋内
④ 圧送ポンプ周波数 60Hz
⑤ 稼働時間 8時間/日
⑥ 稼働日数 245日/年
⑦ 電気料金 15円/kWh
今回のエコハイブリッドチラーの導入で
年間消費電力‐22,624kw、年間電気料金‐339,350円、年間CO₂削減量‐10,453kg
削減する事に成功しました。
お客様の声
カーボンニュートラルへの取り組みも実現
今まで使用していたチラーの能力が低下しており十分な能力が発揮できておらず、また電気費用も年々増加しており困っておりましたが、今回のエコハイブリッドチラーの導入で設備の必要な温度まで季節に合わせて最適な運転方法で安定して冷却できるので非常に助かりました。
エコハイブリッドチラーのおかげでカーボンニュートラルへの取組みも同時に進めることができました。
よくある質問
チラー他各ユーティリティ設備のメンテナンスも行っております。まずは現地に伺い見積りさせていただきます。
お気軽にお問い合わせください。
現場状況に合わせたチラー、クーリングタワーの選定とより省エネに即したご提案をさせていただいております。
既設のチラーのフロンガス回収を行い適切な方法で廃棄処分させていただきます。
お役立ち資料ダウンロード
施工担当者からのメッセージ
ニーズに合わせた最適な設備の選定が大切
経年に伴う能力低下による設備の入れ替えや、カーボンニュートラル(CO₂削減)対策でお悩みの設備担当者様は多いことでしょう。
私たちは設備メーカーではないため、お客様の工場に合わせた最適な設備の提案を中立の立場ですることができます。
お客様のニーズに合わせて最適な設備を選定することで、さらなる省エネ、CO₂削減、安全対策、メンテナンス性の向上など、様々な課題を解決することができます。
今回のチラーをはじめクーリングタワー、ポンプなどの提案をさせていただき、お客様の負担を減らすことで生産性の向上に貢献することができます。
この記事を監修した人
石井 建作
豊安工業株式会社 第1プラント管理部
資格:エネルギー管理士、管工事施工管理技士1級、給水装置工事主任技術者、消防設備士甲種1類
得意分野:給排水衛生設備工事
給排水設備、冷却水設備、エアー設備、蒸気設備等の知識に精通。また、プラントにおける熱エネルギー管理について社内やお客様向けの勉強会を行い、教育活動にも携わっている。専門分野は、クーリングタワー、チラー、ポンプ等の冷却水設備工事。主に三河地区の自動車部品工場等の製造業の給排水設備工事及び省エネ・CO₂削減提案を手がけている。