
エアーを使用していると、ときどき圧力が落ちて、機械が停止します。コンプレッサーの能力不足だと思うのですが、増設したほうがよいでしょうか?

増設の検討と同時に、配管ルートと口径、流量を確認しておきたいところです!
コンプレッサーに余力があっても、末端までエアーを十分に送れていなければ圧力低下は起こります。

エアーが足りないように見えても、コンプレッサーそのものが原因とは限らないわけですね!
配管側も見る必要がありそうです!

その通りです!特に配管が一方向だけだったり、一部だけ口径が細かったりする場合は注意が必要です。
現状の配管ルート・口径・流量・コンプレッサー負荷を把握することが、改善への近道になります!
エアー圧力低下で現場が悩みやすいポイント
「機械が止まるのはエアー不足だから、コンプレッサーを増やそう」そう考えたくなる場面は少なくありません。
ところが、毎回停止するわけではなく、複数の機械が同時にエアーを使ったときだけ圧力が下がるとなると、本当にコンプレッサー能力が不足しているのかどうか、原因探しは難しくなりますね。
こうした圧力低下では、エアーを作る側だけでなく「どのように末端まで届けているか」まで確認することが重要です。
状況としては下記のようなことが起こっていませんか?
- 機械が一時的に停止する
エアー使用量が増えるタイミングで圧力が下がり、機械がエラー停止することがあります。 - チョコ停によって生産が安定しない
短時間の停止でも繰り返せば、生産計画への影響が大きくなります。 - 末端だけ圧力が下がる
配管が一方向に延びている場合、エアーを多く使う場所や末端側で圧力が下がりやすくなります。 - 特定の設備が稼働する時だけ圧力が下がる
必要な流量に対して、接続配管口径が細かったり、既存配管を利用して接続したりした場合、十分なエアー量を送り込めていない場合があります。
結果、下記のような対応をとってしまうことが多いのではないでしょうか?
- コンプレッサー増設で対応してしまう
原因が配管側にあるまま増設すると、設備費や電気代が増えても問題が十分に改善しない場合があります。 - 増圧弁でその場をしのいでしまう

上記のような事が原因でエアーが足りなくなっていませんか?
現場に右資料のような増圧弁が設置されていませんか?
圧力不足解消のために設置されているかもしれませんが、増圧するために
エアーを捨てています。
現場にこのような増圧弁が設置されている場合、エアー圧力不足の問題が
含まれているかもしれません。


末端だけ見ていても、何が起きているのかまでは分からないのですね!
末端だけ見てみると、コンプレッサー能力が不足しているように思えてしまいます。
配管内では、長さや口径、曲がり、バルブなどによって圧力損失が生じます。そのため、コンプレッサー出口では十分な圧力があっても、使用機器の近くでは不足することがあります。

大切なのは、コンプレッサー設備を追加する前に、原因を把握することです。コンプレッサーから配管、末端設備まで、一つのエアー供給設備として確認すると改善策を選びやすくなります。
エアー圧力不足をコンプレッサー増設と配管ループ化にて検討し、
コンプレッサーを増設せずに配管のループ化のみで解消した事例
配管末端をループ化しチョコ停を解消
- 地域:愛知県刈谷市
- 業種:自動車部品工場
- 工場規模:300㎡
- 工期・体制:2日
- 予算:30万円
- 施工規模:エアー配管をループ化し、
配管口径の変更(25A→40A) - 管材・施工距離:白SGP管40A, 約20m

問題点
生産設備がエアー不足によって時々停止するため、お客様はコンプレッサーの増設を検討していました。 まずコンプレッサーの能力の確認をしたところ、コンプレッサーの能力は十分あるのに、エアー圧力不足が起こっていることが判明。そこで配管ルートを調べると、よく圧力不足が起きる生産ラインがエアー配管の末端に位置していることが判明。さらに、その部分の配管は周囲の配管が40Aなのに対し、より細い25Aとなっており、末端まで十分にエアーを送りにくい状態でした。
改善内容
コンプレッサーを増設する前に、既存の配管を見直しました。 エアー配管の末端部とコンプレッサー出口側の配管を接続し、一方向だった供給経路をループ化。さらに25Aだった部分を40Aへ変更し、エアーが流れやすい配管へ見直しました。 単純に配管同士を接続するのではなく、ルートと口径を確認したうえで施工したことがポイントです。
お客様の声
改善後はエアー不足によるチョコ停がなくなり、本来の生産を続けられるようになりました。コンプレッサーを新しく購入する場合には、本体費用だけでなく電気代や設置工事費も必要になります。今回は配管工事だけで問題を解消でき、コンプレッサーを購入せずに済みました。工期も2日間と短く、コスト面でも取り組みやすい改善となりました。

エアー配管改善を成功させるポイント
この事例から分かる大切なポイントは、「末端のエアーが足りない」という現象だけを見て設備を追加しないことです。
まず現状を調べ、そのうえで原因に合った対策を選ぶことが、余計な設備投資を抑えることにつながります。
- 配管ルートを確認する
エアーを多く使用する設備が配管末端に集中していないか確認します。 - 配管口径を確認する
ループ化しても接続部分が細ければ、十分な流量を確保できない場合があります。 - 実際の流量を確認する
圧力だけではなく、設備が必要とするエアー量を送れているかを見ることが重要です。 - コンプレッサー負荷を確認する
本当に供給能力が不足しているのか、既存設備に余力があるのかを確認します。 - 増設ありきで考えない
コンプレッサーや増圧弁を追加する前に、既存配管を改善できないか検討します。 - 設備全体を見る
コンプレッサーの負荷調査から配管ルート、流量、口径、末端でのエアー使用方法まで確認することが、根本改善につながります。
特に注意したいのが、「ループにすればよい」と考えて細い配管で接続してしまうことです。
ループ化は均圧化を図る有効な方法ですが、必要な流量に対して口径が不足していれば、期待した効果を得にくくなります。ルートと口径をセットで考えましょう。
よくある質問
どこでも接続すればよいわけではありません。設備の配置や現在の配管ルート、口径、エアー使用量を確認し、どの位置をどの口径で接続するかを決める必要があります。先に現地の状況を整理しておくと安心です。
増圧弁が適している設備もあると思いますが、増圧弁の種類によってはエアーより多く消費するものも存在します。増圧弁を追加した結果、周辺設備へ供給するエアーが減り、別の場所で圧力低下が起きることもあります。使用する前に供給設備全体を確認することが重要です。
必ずしもそうとは限りません。配管口径が不足していたり、配管ルートに問題があったりすれば、コンプレッサーを増やしても末端まで十分なエアーを送れないことがあります。 増設を検討するときは、エアー流量、配管ルート、配管口径、コンプレッサーの負荷を先に把握し、本当に増設が必要か判断することをおすすめします。
工場ペディア編集部からのメッセージ
設備を増やす前の「現状把握」が、ムダな投資とエネルギー消費を抑える第一歩
エアー圧力が下がると、まずコンプレッサー能力を疑いたくなります。しかし今回の事例では、原因はコンプレッサーそのものではなく、配管ルートと口径にありました。
大切なのは、症状が出ている場所だけを見るのではなく、コンプレッサーから末端設備までを一つの設備として見ることです。配管ルート、口径、流量、コンプレッサー負荷を把握してから改善方法を考えることで、不必要な設備増設を避けやすくなります。
コンプレッサーの運転負荷を抑えることは、電気代だけでなく省エネやCO2削減にもつながります。設備更新だけを改善策と考えず、今ある設備の使い方や配管を見直すことも、持続可能な工場づくりの一歩になります。
この記事を監修した人

高須 康太郎
豊安工業株式会社 プラント管理部2課 課長
資格:1級管工事施工管理技士
得意分野:給排水衛生設備工事
製造業を中心とする食品工場や自動車部品工場、中小企業から1部上場企業まで幅広いクライアントの建物の改修や新築工事における給排水衛生設備工事を多く経験している。社内での教育活動やお客様向けの勉強会においても、その専門知識を活かし給排水衛生設備工事について指導している。




