ポンプの閉塞運転を防止するには?原因と対策、リリーフ配管による故障予防策を徹底解説

最近、ポンプがエアーを噛み送水できていない時があります。
点検してみるとやけに配管やポンプが熱くなり、触った作業員が火傷しそうになったこともあって…
閉塞運転が原因かもしれませんが、どう対策すればいいのか分からず困っています。

それは閉塞運転の可能性が高いですね!
ポンプが送水できない状態で動き続けると、内部の液体温度が上がり、故障の原因になります。
配管にも影響が出る場合もあり、ポンプを使用しなくても良い時は停止をしたほうがいいと思います。
管理が難しいようであれば、常に水を流し続ける回路を追加することで対策できますよ!

なるほど、少しでも水を送水する工夫が必要なのですね!すぐに確認してみます。

はい、簡易的なバイパス配管でも効果があります。
トラブル予防と寿命延長のためにも、今のうちに対策を検討しましょう!

目次

ポンプの閉塞運転とは、流量が確保されていない状態で運転し続けることを指します。

原因はさまざまで、吐出バルブの閉止、配管の詰まりなどが挙げられます。この状態でポンプを稼働し続けると、内部の液体が送水しないまま加熱され、高温による火傷事故やポンプ自体の破損、さらにはモーター故障につながるリスクがあります。

閉塞運転が発生する主な原因

  • 吐出バルブの閉止…起動時や点検後に開け忘れるケースが多い
  • 配管の詰まり…異物の混入やスケールの蓄積
  • 制御不具合…何らかの原因でポンプの運転・停止がうまくいっていない

閉塞運転が続くと、液体の温度上昇が最も深刻な問題となります。

特にケーシングやインペラが加熱されると、変形や摩耗の原因となり、最悪の場合、ポンプ全体の交換が必要になるケースがあります。
運転時間に比例して温度が上昇、短時間のうちに重大な損傷が発生するリスクがあり、何も知らずに触れてしまうと火傷をするリスクがあり、危険です!

閉塞運転がもたらす設備トラブル

  • ポンプ内部の液温上昇で火傷事故リスク
  • インペラやシールの摩耗・劣化
  • モーターへの過負荷で過熱・焼損
  • 配管内の蒸発・キャビテーション発生の可能性
  • ライニング配管のライニングがはがれる可能性
熱により溶けたライニングが管内に詰まっている
管内の溶けたライニングがポンプ内に詰まっている

これらのトラブルは、突発的な停止や大きな修繕コストに直結するため、未然に防ぐための対策が必要です。

閉塞運転は見た目ではすぐに異常と判断しづらいため、定期点検の徹底と予兆管理が重要です。
吐出バルブや配管系統の状態を日常的にチェックし、異常時の初動対応をルール化することで、被害を最小限に抑えることができます。

定期点検チェックポイント

  • 起動時のバルブ開閉状態の確認
  • 流量計や圧力計の定期確認
  • ポンプの運転音や振動の変化
  • 点検後の作業漏れ防止チェックリストの整備

これらをチェックリスト化して運用することで、人的ミスによる閉塞運転の発生を防げます。

閉塞運転の対策として、吐出側から吸込み側へ少量の水を送水させる方法が有効です。

リリーフ配管を設けることで、流量ゼロの状態を防ぎ、ポンプ内部の加熱を抑えることができます。

特に流量調整バルブを併用することで、最適な水量の調整が可能になります。

  • 簡易施工で既存設備に後付け可能
  • 常に少量の水が送水するため、空運転防止に効果的
  • ポンプの寿命延長・故障防止に直結
  • 調整バルブで最適流量を現場に合わせて調整可能

このようなシンプルな設備追加でも、現場のトラブル削減につながり、保全コストの削減にも効果を発揮します。

流量調整バルブを取付、水の量を調整

愛知県 自動車部品工場様

問題点

週明けに冷却水の循環ポンプが頻繁にエアー噛みをし生産ラインに水が供給されずにトラブルが頻発、現地を確認してみるとポンプ、配管ともに高温になっていました。
調査の結果、ライン停止時はライン側のバルブを閉め、ポンプは運転しっぱなしで閉塞運転状態が判明しました。

改善内容

対策として、操作盤を設け管理しようとしましたが、費用が合わず、別の案として吐出側から吸込み側のクーリングタワーへ少量の水を戻すリリーフ配管を施工。

リリーフ配管を導入したことで、エアー噛みの頻度は減少、週明けのトラブル対応も大幅に減りました。
また、モーターやシール部の交換頻度も従来の半分以下となり、設備保全にかかる手間やコストの削減にもつながっています。
さらに流量調整バルブも設けて、常に一定の流量が確保されるようにしました。

お客様の声

細かい管理をしなくても運用が楽になり、バルブの開け忘れなど、人為的なトラブルがほとんどなくなりました。
同時に、作業負担の軽減と安心感が向上し、導入して良かったです!

Q
バイパス配管を設置するだけで本当に効果がありますか?
A

はい。少量でも流量を確保できれば閉塞運転を防げます。温度上昇の抑制に大きく寄与します。

Q
施工は大がかりになりますか?
A

既存配管に後付けできるため、比較的簡易に施工可能です。バルブと配管やホースのみで対応できます。

Q
流量はどの程度戻すべきですか?
A

ポンプの仕様や用途によりますが、通常は数リットル/分程度でも十分です。調整バルブで最適化可能です。

小さな対策で大きな事故を未然に防ぐ

ポンプの閉塞運転は、見逃されやすいトラブルの一つですが、放置すれば機器の焼損や事故につながる非常に危険な状態です。
今回紹介したように、リリーフ配管を設置することで、比較的手軽に導入できる対策でも、設備の故障防止や保守管理の効率化に大きく寄与します。
日々の業務に追われる中でも、こうした予防保全の取り組みを一つずつ進めていくことで、突発的なトラブルを減らし、現場の安定稼働を実現できます。

まずは「うちの設備に閉塞運転のリスクがないか?」を見直すところから始めてみてください。
気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事を監修した人

川澄 恵一

川澄 恵一

豊安工業株式会社 プラント管理部2課 主任
得意分野:プラント配管工事

工場や事務所の改修・修繕・改善工事を数多く担当し、現場での経験を積み重ねてきた。配管および付帯機器に関する深い知識と実践力を活かし、自動車部品製造工場をはじめとする多様な現場で高品質な施工管理を行っている。

工場ペディア監修

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