最近、蒸気配管からの漏れが増えていて困っています。
20年以上使用している配管なので見直したいのですがどうすればいいでしょうか?

蒸気配管は使用環境によって寿命が縮むこともあります。
計画的な更新や伸縮継手の設置、スチームトラップの適正配置などで大幅な改善が可能ですよ!

それなら、漏れている箇所だけを修理するよりも全体を見直すほうが効果が出そうですね。
CO2削減にもつながるなら一石二鳥です!

おっしゃる通りです!配管の現状を調査して、最適な更新計画をご提案しますのでご安心ください。

目次

老朽化した蒸気配管を使い続けることは、エネルギーの無駄遣いだけでなく、CO2排出量増加にもつながりますし、特に漏れや詰まりが発生している場合、ボイラーの余分な稼働が必要となり、結果的に環境にもコストにも悪影響が出てしまいます。

年間で数十万円以上の損失になることも

蒸気配管の材質であるSGPパイプは、平均して20年ほどの耐用年数とされています。

しかし実際には、高温多湿や酸化などの影響で、それよりも早く劣化するケースも少なくありません。
特にフランジや伸縮継手部分は漏れやすく、スチームトラップの詰まりによって蒸気が配管内に滞留し、効率が著しく低下することもあり、
このようなロスが積み重なれば、CO2排出量の増加につながるだけでなく、年間で数十万円以上の損失になることもあります。

蒸気配管の仕組みや、どのように劣化が進行していくかを理解しておくことで、計画的な保守・更新ができるようになります。

伸縮継手やフランジ部の漏れ

SGPパイプは、耐熱性・耐圧性に優れた一般的な配管材ですが、長期間にわたる使用で酸化や熱膨張によるダメージを受けやすくなります。

特に、伸縮継手やフランジ部は構造上弱く、そこからの漏れが多く報告されています。
スチームトラップが適切に機能していない場合は、ドレン(水分)が配管に滞留し、内部腐食の原因となります。これらが積み重なることで、配管全体の耐久性が大きく損なわれていきます。

配管の更新タイミングを見極めるためには、劣化が起こりやすい箇所と、その兆候を知っておく必要があります。
実際に現場でよく劣化ポイントを整理します。

  • フランジ…ガスケットの劣化により漏れやすい
  • 伸縮継手…設置不良や熱膨張の影響で割れ・亀裂が発生しやすい
  • スチームトラップ…詰まりによりドレンが溜まり、配管内部が腐食する恐れあり

これらの部位は、定期点検と予防保全が不可欠になります!

劣化リスクを抑え、効率的にエネルギーを利用するための改善策を紹介します。
CO2削減を目指すには、単なる補修ではなく、構造的な見直しが重要です!

ポイント3つ

  • 伸縮継手の設置
     蒸気配管の直管部に伸縮継手を取り付けることで、熱膨張による負荷を吸収し、配管の寿命を延ばせます
  • スチームトラップの設置
     適切な位置に設置することで、ドレン(水分)を排出し、配管内部の腐食を防ぎます
  • 使われていない配管の処理
     放置せずに縁切り・撤去を行うことで、不要な熱損失やボイラーの無駄運転を防げます

愛知県西尾市 自動車製造工場様

年間燃料削減予想 21,444N㎥/年
年間削減金額予想 1,072,164円/年
年間CO2削減量予想 47,112㎏CO₂/年見積金額 3,200,000円

問題点

40年間使用していた蒸気配管より複数個所の漏れが発生し、スチームトラップは取付されていが点検を行っていなかったので詰まりや内部の漏れが発生していました。

改善内容

弊社では部分的な修理も検討しましたが一般的な寿命も大きく超えており使用していない不要配管も多く、今後の運用も考慮して配管全体を更新する提案をしました。

お客様の声

配管が古く以前から頻繫に蒸気漏れが発生しており対応に追われていましたが、今回思い切って配管を全て更新しました。

大型連休を利用して工事を行ってくれたので生産に影響を出すことがなく助かりました。

また不要配管も全て撤去出来たのでCO2排出量を削減できて良かったです。

複数の蒸気漏れを改善したことで、年間の削減金額として1,072,164円/年となる予想です!

Q
蒸気配管の寿命は本当に20年ですか?
A

一般的には20年が目安とされていますが、使用環境や保守状況によっては10年程度で漏れや劣化が発生する場合もあります。

Q
配管の見直しでどれくらい省エネになりますか?
A

配管状況や更新範囲にもよりますが、蒸気漏れを抑えるだけでも数十万円規模のランニングコスト削減が期待できます。

Q
点検はどのくらいの頻度で実施すべきですか?
A

年1回以上の定期点検をおすすめします。特にスチームトラップの不具合は目視確認では発見できないので専門業者による調査が必要となります。
スチームトラップの設置場所にもよりますが低所であれば10ヶ所で約5万円、高所であれば10ヶ所で約10万円で実施可能です。

蒸気配管は目に見えづらい部分だからこそ、劣化や無駄が見過ごされやすい傾向です。
定期的な見直しや構造的な改善によって、エネルギー損失を抑え、ボイラー運転の最適化が実現できるのです。

単なる省エネを超えて、CO2排出量の削減や低炭素社会の実現にも貢献できる重要な取り組みですし、設備更新は一時的な投資となりますが、費用対効果の高い改善策として工場全体の持続可能な運用にもつながります。
今後の環境対策・BCP・DX推進の一環としても、ぜひ蒸気配管の見直しをご検討ください。

この記事を監修した人

石井 建作

石井 建作

豊安工業株式会社 第1プラント管理部
資格:エネルギー管理士、管工事施工管理技士1級、給水装置工事主任技術者、消防設備士甲種1類
得意分野:給排水衛生設備工事

給排水設備、冷却水設備、エアー設備、蒸気設備等の知識に精通。また、プラントにおける熱エネルギー管理について社内やお客様向けの勉強会を行い、教育活動にも携わっている。専門分野は、クーリングタワー、チラー、ポンプ等の冷却水設備工事。主に三河地区の自動車部品工場等の製造業の給排水設備工事及び省エネ・CO₂削減提案を手がけている。

工場ペディア監修

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