
スチームアキュムレータの点検が必要なのは分かっていますが、どのように管理すればよいのでしょうか? 法的な義務もあると聞いていますが…

スチームアキュムレータは第一種圧力容器に分類されており、毎月の自主点検と年に一度の性能検査が義務付けられています。万が一事故が発生すると、被害が大きくなるため、日常の点検も求められます。
こうしたリスクを防ぐには、日頃から適切な点検と管理を徹底し、安全な運用を心がけることが大切です!

なるほど、事故は避けたいところです…
性能検査や、私たちが日常点検でどこを確認したら良いか詳しく教えてくれませんか?

かしこまりました!スチームアキュムレータの日常管理の重要ポイント、プロが行う性能検査のポイントについて詳しくご紹介していきます。
スチームアキュムレータとは?
スチームアキュムレータは、蒸気を一時的に蓄え、必要に応じて供給する装置です。ボイラーの負荷変動を緩和し、プロセス側へ安定した蒸気を供給することができます。
高圧・高温の蒸気を蓄える設備
高圧・高温の蒸気を蓄える設備であるため、日常点検が非常に重要です。
点検を怠り、異常箇所をそのままにしておくと、供給する蒸気の質が低下したり、本体から蒸気が漏れるなどのトラブルが発生します。
異常を早期に発見できれば、計画的な修理が可能になり、重大な事故につながるリスクも防ぐことができます。
スチームアキュムレータの日常管理と法的義務
第一種圧力容器としての管理義務
スチームアキュムレータは、第一種圧力容器に分類されており、以下の点検が法律で義務付けられています。
- 毎月の自主点検(異常の早期発見のため)
- 年1回の性能検査(専門業者による詳細チェック)
適切な点検を実施することで、安全性を確保し、トラブルを未然に防止することができます。
スチームアキュムレータの自主点検ポイント
自主点検記録表を活用しよう
自主点検は、工場内で定期的に実施する必要があります。点検時には記録表を作成・活用し、次の項目を確認しましょう。
- 圧力計の数値が正常範囲内か
- オーバーブロートラップに漏れや閉塞が無いか
- 水位レベルの動作、範囲が適切か
- 本体に腐食している所や漏れは無いか
- 接続されている配管に漏れは無いか
- 本体架台やフランジ等のボルトに緩みは無いか

こういった一覧表があると項目が分かりやすく、見逃しも防げますね!
性能検査のポイントと対応方法
性能検査はプロに依頼しよう!
スチームアキュムレータの性能検査は、運転を停止し、マンホールを開放した整備済みの状態で行います。性能検査前の整備は、専門業者に依頼するのが一般的です。
性能検査当日には、登録性能検査機関の検査員が状態を確認します。
マンホールパッキン
当たり面に腐食、傷がないか

缶内配管の支持
腐食がないか、溶接箇所にクラックがないか

スチームディスパージャー
蒸気出口に詰まりがないか、腐食、変形がないか

缶内の状態
蒸気出口に詰まりがないか、腐食、変形がないか


万が一、検査で問題が見つかった場合は、整備や修理を速やかに行うことが大切です!
スチームアキュムレータの修理対応
故障時の対応と修理の流れ
スチームアキュムレータが故障した場合、迅速な修理対応が求められます。故障箇所によっては、所轄労働基準監督署への変更届出が必要となることがあります。故障内容に合った適切な修理方法を選ぶことが重要です。
修理の流れ
- 故障箇所の特定を行う
- 届出が必要な修理の場合は届出書類の作成・提出をする
- 修理対応の実施をする
- 変更検査が必要な場合は、変更検査の立会いを行う
- 試運転・動作確認をする
よくある質問
毎月1回の点検が法律で義務付けられています。異常がないか定期的にチェックしましょう。
水位や圧力の異常、蒸気漏れ、腐食箇所の発生などが確認された場合は、早急に修理を行う必要があります。
設備の大きさや状態によって、かかる費用は大きく変わります。現場調査を実施し、内容を把握した上で、お見積りを提出いたします。
お役立ち資料ダウンロード
スチームアキュムレータの月例点検表

工場ペディア編集部からのメッセージ
スチームアキュムレータの異常を見逃さないために
スチームアキュムレータは、蒸気発生設備の運転を安定化し、プロセスへの蒸気を安定供給するための重要な設備です。しかし、内部には飽和水が蓄えられているため、万が一事故が発生すると、その被害は多大となります。
第一種圧力容器としての法的義務を遵守し、自主点検の実施、性能検査の適切な対応、異常発見時の迅速な修理を行うことが、安全運用の鍵です!
トラブルを未然に防ぎ、安全な工場運営を実現するために、日常管理に取り組んでいきましょう。

この記事を監修した人

牧原 大嗣
豊安工業株式会社 メンテナンス部メンテ課
資格:ボイラー整備士、一級ボイラー技士、一級管工事施工管理技士、第二種電気工事士
得意分野:ボイラー、燃焼機器全般
メンテナンス部でボイラーや圧力容器の定期点検業務、配管工事に従事。
食品工場や化学工場などの多様な現場で経験を積み、ボイラーや燃焼機器の整備・修理において豊富な知見を有する。