高熱を発する設備による室温上昇を抑え、快適な作業環境を実現!遮熱カーテンで工場の温度を最適化

工場にガス乾燥炉があるのですが、設備の周辺がとても暑く、近くにいる作業者が大変です。
クーラーを設置するわけにもいかないのですが、何か熱気を和らげる対策方法はありますか?

乾燥炉は熱風で製品を乾燥させる設備のため、設備周辺はどうしても熱くなりますよね。
空気が温められることによる室温の上昇のほか、実は設備表面からの輻射熱も作業者が暑さを感じる原因になっています。

え、そうなんですか!室温を下げて涼しくすればいいと思っていました…

表面温度が高くなる設備の場合、室温を下げる対策だけでなく、輻射熱を防ぐ断熱対策も大切ですよ。
熱い空気と輻射熱の両方を遮断して快適な作業環境を実現するためには、「遮熱カーテン」という方法があります!

設備には製品の出し入れやメンテナンスもあるので、囲ってしまうのはちょっと困ります…

カーテンの名の通り、家庭用のカーテンのように簡単に開け閉めができるので、生産や設備メンテナンスに支障はありません。実際施工されたお客様の声も紹介しますね!

目次

熱源設備が原因の室温上昇や設備の輻射熱によって、作業者が熱中症などで倒れてしまう危険があるため、何らかの対策が必要です。
しかし、エアコン、スポットクーラー、大型扇風機といった空調設備の導入が、設置スペースの問題や電気容量の不足によりできない場合も多々あります。

そこで、電気を使わない対策として、熱い空気と輻射熱を遮断する「遮熱カーテン」という方法があります。遮熱カーテンは、熱源設備から発生する熱気を効果的に遮断し、快適な作業環境を維持するための有効な手段です。

遮熱カーテンは家庭用カーテンと同様に、断熱と保温の役割を果たします。熱源設備で温められた空気の閉じ込めと熱線の遮断を行うことで、人のいる作業エリアと設備エリアを分断し、作業エリアの室温を快適に保つことができます。また、設備から出る輻射熱を遮断し、作業エリアの温度上昇を抑制するほか、熱で壊れやすい設備や制御盤を保護します。

遮熱カーテンはオーダーメイドで、現場に合わせたぴったりの仕様に対応可能です。
施工方法とそのメリット・デメリットについて詳しく説明していきます!

遮熱カーテンは、熱源設備側と作業エリア側の空気の対流を分断し、設備側の熱気が作業エリアに流れ込むのを防ぐ役割を果たします。同時に、熱源設備から発生する「熱線=輻射熱」も遮断するため、気温および作業者の体温上昇を軽減することができます。

設備の熱気を防ぐ方法として、設備そのものを保温・断熱する方法もあります。弊社では「放熱守るくん」という製品を提供しており、設備表面から放出される熱エネルギーを断熱材で閉じ込めることでエネルギー削減も期待できます。ただし、複雑な機械形状に合わせたオーダーメイド製作となるため、コストは高めです。一方で、遮熱カーテンは比較的安価に広範囲をカバーできるのがメリットです

1.作業エリアの温度上昇を抑止

遮熱カーテンを使用することで、工場内の温度をエリアごとに管理し、熱い空気を閉じ込めて作業環境を快適に維持できます。これにより、従業員の熱中症を防ぎ、作業効率の向上が見込めます。

2.電気代がかからない

電気を使用しないため、電気代やデマンドコストの節約につながります。

3.エネルギーコストの削減

遮熱カーテンでエリアを区切ることで、冷房エリアの空調効率が向上し、エネルギーコストを削減できます。

4.柔軟な設置

設備メンテナンス時には簡単に開けることができるため、邪魔になりません。また、冬場に熱気を暖房代わりにしたい場合には、カーテンを開けることも可能です。

5.毎日の使用に耐える強度

柔軟性があり取り扱いやすい一方で、カーテン素材は高い強度を備えており、工場の過酷な環境下でも使用可能です。

6.低コストで導入可能

建築による壁や小屋の設置と比較して、安価に施工できます。また、空調設備の導入や設備への保温材追加よりも低コストで広範囲を対策できます。

遮熱カーテン導入のデメリット

遮熱カーテンにはいくつかのデメリットがあります。まず、設置には初期コストがかかり、高品質な素材を使用する場合には費用が増加することがあります。また、頻繁な開閉による劣化の可能性や、視界を遮ることによる作業エリアの見通しの悪化も懸念されます。さらに、設置には一定のスペースが必要で、狭い場所や複雑な配管があるエリアでは取り付けが難しい場合があります。

遮熱カーテンの導入で熱気が設備側にこもることで、設備エリアの温度が上昇することもあり、開閉が手作業で行われる場合には、閉め忘れにより効果が低下するリスクもあります。これらを理解し、適切な運用を検討することが重要です。

工場内の室温が上昇する原因

これらの要因が複合的に影響することで、工場内の温度はさらに高くなります。

  • 輻射熱
    設備から放出される熱が空気中に伝わり、室温を上昇させます。特に金属製の設備は熱を吸収しやすく、その熱が周囲に放射されます。
  • 対流
    高熱物を取り扱う設備が周囲の空気を温めることで、温められた空気が上昇し対流が発生します。この対流によって、部屋全体の温度が上がります。
  • 外部からの伝播
    屋根や壁を通じて太陽光の熱が室内に伝わることで、室温が上昇します。特に夏場はこの影響が大きくなります。

熱気対策の重要ポイント

熱気対策では、単に室温を下げることだけが注目されがちですが、設備や外部からの輻射熱の遮断=「遮熱」も同じくらい重要です。遮熱対策を適切に講じることで、作業環境を快適に保つことが可能になります。

豆知識 輻射熱とは?

輻射熱(ふくしゃねつ)とは、赤外線などの電磁波が他の物体に伝わることで発生する熱のことです。
輻射熱の特徴は、空気を介さずに直接物体に熱が伝わる点にあります。このため、輻射熱を遮断することで効率的に温度上昇を抑えることができます。

ガラス繊維製品に用いられているガラス繊維は、物理的・熱的・化学的、・電気的に安定した無機質繊維です。
最もベーシックな素材なので汎用性が高く、さらにリーズナブルであることから産業分野を問わず、幅広い用途に利用されています。

写真・製品情報提供:日本グラスファイバー工業株式会社 https://nitigura.co.jp

まず、遮熱カーテンを設置する場所の寸法を測定します。カーテンの高さ、幅、取付位置を調査し、効率的に熱を閉じ込められるように設置位置を検討します。

遮熱カーテンには、様々な素材があります。たとえば、PVC製の透明カーテンやアルミ箔を使用したものなどがあり、用途、予算に合わせた素材を検討します。

現地調査内容や、ヒアリング内容をもとにお見積りをご提出致します。設置エリアの変更、素材の変更等あれば、再度、お見積りを提出致します。

現場にカーテンレールやフレームを設置致します。天井から吊るす方法や柱を立てたりする方法もあり、生産活動に影響のない位置を考慮しますまた、同時にカーテン製作工場にて測定した寸法の通り、カーテンの裁断、縫製などをし、遮熱カーテンとして製品化致します。

遮熱カーテンの取付をします。取付後、可動域が適正かどうか、開閉がスムーズであるかどうか確認、調整致します。

お客様:愛知県 A社様

お客様の声:遮熱カーテン導入による効果を実感

工場の2階に製品の焼き入れ工程がありましたが、天井が低いため、周辺の室温が上がりやすく、特に夏場は作業員の熱中症リスクが心配でした。

以前、別の設備で断熱塗装工事をお願いした経験があり、今回も同じような方法で熱気を軽減したいと相談しました。すると、担当者の方から『今回のケースでは遮熱カーテンの方が安価で広範囲を対策ができますよ』との提案をいただき、導入を決めました。

遮熱カーテンを設置した結果、設備から出る熱気や熱風がカーテン内に閉じ込められ、工場全体に熱が広がりにくくなりました。そのおかげで、作業者のエリアでの室温上昇が抑えられ、快適な環境が実現しました。また、設備からの輻射熱も遮断され、設備の近くで作業している従業員が暑さを感じにくくなりました。

熱中症リスクが低下しただけでなく、作業効率の向上も期待でき、とても満足しています。

お客様:愛知県 B社様

お客様の声:吹き抜け部分の遮熱対策で快適な作業環境を実現

工場の1階から2階へ設備を上げ下ろしするための吹き抜け部分から、1階の乾燥炉から出た熱気が2階に侵入し、室温が上昇して困っていました。特に夏場は、2階で作業する従業員にとって過酷な環境でした。

吹き抜けを塞ぐことは設備の運用上できず、固定壁を作ると将来的な設備更新の妨げになるため、どうすればいいか悩んでいました。そこで、開閉や取り外しが可能な遮熱カーテンを提案いただき、導入を決めました。

工事では建物の柱や梁を利用してカーテンレールを固定していただき、工事費を抑える工夫もしていただきました。遮熱カーテンを施工した結果、2階の温度上昇が和らぎ、快適な作業環境が整いました

吹き抜け部分の遮熱カーテン施工

広範囲の遮熱対策にはカーテンが有効です。現場にあわせたオーダーメイドで、日々の作業に支障が無いよう工夫して設置します。その他、設備の断熱を組み合わせての施工もお任せください!

Q
遮熱カーテンの効果はどのくらいですか?
A

数値で具体的な温度低下をお示しすることは難しいですが、確実に室温の低下を体感いただける効果があります。

Q
遮熱カーテンの設置は簡単ですか?
A

遮熱カーテンの設置は比較的簡単で、多くの場合、1日から3日程度で完了します。

Q
遮熱カーテンのメンテナンスは必要ですか?
A

特別な点検や定期交換部品はありません。

Q
遮熱カーテンの費用はどのくらいですか?
A

遮熱カーテンの費用は、素材やサイズ、設置場所によって異なりますが、施工費を含めて数十万円程度が目安です。具体的な費用は現場の条件により変動しますので、お気軽にお問い合わせください。

Q
遮熱カーテンはどのような素材でできていますか?
A

遮熱カーテンは、アルミ蒸着フィルムや特殊なポリエステル素材など、熱反射効果の高い素材で製作されています。油で汚れやすい場所や、水がかかる環境など、現場の状況に応じて最適な素材を選定します。

遮熱カーテンは、熱源設備周辺の作業環境を効率的に改善できる効果的な方法です。施工は現場に合わせたオーダーメイドで行い、お客様のご要望に沿った対応をいたします。

遮熱カーテンを導入することで、室内温度の上昇が抑えられ、作業環境が快適になります。その結果、従業員の作業性や生産性の向上に寄与します。また、空調を併用している場合には、空調コストを大幅に削減できる可能性もあります。

さらに、遮熱カーテンと設備の断熱を組み合わせることで、作業環境のさらなる改善と省エネによるコスト削減の両立が可能です。これにより、持続可能な運営の一助となるよう、さまざまな改善手法をご提案いたします。

この記事を監修した人

中村 裕正

中村 裕正

豊安工業株式会社 プラント管理部兼営業部 部長
資格:1級管工事施工管理技士
得意分野:管工事全般

2002年の入社以来、自動車部品製造工場を中心に、営業から施工管理まで幅広く対応。管工事全般に精通し、長年にわたり現場改善や不具合対応に実績を積んできた。さらに、社内ショールームのエアーブース部門を手掛けるなど、設備提案におけるリーダーシップを発揮している。

工場ペディア監修

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