
夜になると排水配管が凍ってしまって、朝、排水できずに困っています。ひどい時は配管が割れて、漏れまで起きてしまって…

夜間に排水の流れが止まると、凍結しやすくなりますからね。凍結だけでなく、割れや漏れにつながるケースも多いです

凍結するたびに補修対応で、正直その場しのぎになっていました!

まずは原因を整理しましょう。実は運用の工夫だけで防げることもあります!
排水配管の凍結で現場が悩みやすいポイント
冬場の排水配管トラブルは、「分かってはいるけど、どう対策すればいいか迷う」テーマですね。
結論から言うと、排水を止める運用が、凍結を招いているケースが少なくありません。
よくある困りごととリスク
- 排水箇所が限られている
夜間、工場が停止していると排水が少なく、止めざるを得ない時間が発生しやすい状況です - 送水できず配管内に水が溜まる
流れが止まると、夜間の冷え込みで一気に凍結しやすくなります - 配管割れ・漏れにつながる
凍結膨張で配管が傷み、気づいた時には漏水していることもあります


気づいた時に排水が漏れていることもあります。

朝来たときはわからないのですが、正午に向かってあちこちが濡れていて、そこで初めて気づいたり、
排水できずに排水槽が一杯になり、警報がなってから配管が凍結していることに気づくこともあります。
送水間隔を工夫して凍結を防いだ現場
山間部の自動車部品工場で起きていた夜間凍結トラブル
愛知県豊田市 山間部にある自動車部品工場様
問題点
愛知県豊田市の山間部にある自動車部品工場では、夜間の冷え込みが厳しく、排水配管の凍結が繰り返し発生していました。
排水をすべて送り切ってしまうと、その後は送水できず、配管内に残った水が夜間に凍結。翌朝には排水できず、生産準備に支障が出る状況が続いていました。
配管を凍結させないための条件は、大きく分けて2点です。
配管を凍結させないための条件2つ
- 配管を冷えにくくする(ヒーターや保温材など、配管が冷えないようにする)
- 流体を動かし続ける(流し続けることにより、流れを止めず、凍結しにくくする)
このどちらかが施工可能であれば凍結せずに済みます。
参照:工場配管の凍結対策は大丈夫?忘れた頃にやってくる見えない配管の凍結を防ぐための自動制御アイテム
通常蛇口として使用でき蛇口の水を自動制御・工事も簡単・蛇口型以外も様々な用途に対応できる「凍結防止用蛇口」について比較でその効果を紹介しています。

しかし、さらに問題があり、排水配管の敷設距離が非常に長く、上記対策を行うにも非常に工期とコストがかかることが想定されました。
予算をとって、工事をして…と考えているうちに冬が終わってしまい、また、次のシーズンで生産を止め、凍結を解凍し、漏れたところを修理し…という繰り返しが行われる状況となっていました。



改善内容
そこで対策として行ったのは、設備を大きく変えることではなく、
送水の「間隔」と「量」を見直し、凍結しない程度に排水を送水し続ける運用を組みました。
排水タンクの状態を踏まえ、夜間でも一定時間ごとに少量の送水が行われるよう調整しました。
それでも排水量が足らないときは、給水をすることにより、タンク内の排水量を確保し、排水を流し続けることを行いました。
人の手で調整を行うことは非常に困難と思われたため、システムづくりを行い、制御スイッチを取り付け、凍結シーズンがくる前にスイッチを入れて、
自動で制御をすることにより、人の手を煩わせることなく、凍結防止対策を行いました。
お客様の声
この運用を始めてから、排水配管の凍結は発生していません。
大きな工事をせずに済んだことで、現場の負担も少なく、夜間や週明けのトラブル対応が減り、安心して設備を使えるようになりました。

凍結対策はヒーターだけではありません。“排水を止めない設計”も、現場に合えば非常に有効です

以前は連休明けや、夜冷え込んだ次の日の朝が来るたびヒヤヒヤしていましたが、今は安心できます!
凍結防止で共通する成功ポイントと導入のコツ
排水配管の凍結対策で重要なのは、現場に合った運用!
- 凍結しない条件を整理する
温度、配管内の滞留時間、排水量を一度整理してみましょう - 排水量が少なすぎないか確認する
水槽容量や送水量が不足すると、逆に凍結しやすくなります - 現場に合わせた運用設計を行う
設備を増やす前に、運用の組み方で解決できることも多いです
よくある質問
排水の種類や配管距離によって異なります。実際に成立するかは現地確認が必要です。
排水量と送水距離のバランス次第です。条件によっては送水できる時間が限られるため、事前の検討が重要です。
工場ペディア編集部からのメッセージ
凍結は「寒さ」より「運用」で防げることがあります
冬場の排水トラブルは、寒さそのものよりも、日々の運用が原因になっているケースが少なくありません。排水を止める、流し切るといった“普段では当たり前”の判断が、凍結を招いていることもあります。
今回の事例のように、しっかりと原因をつかみ、どうすれば凍結しないかを考え、運用できれば、設備、配管にとって有効です。
大きな投資をしなくても、現場に合った工夫でトラブルを減らすことは十分できる可能性は高いです。
凍結対策はBCP対策の一つでもあります。
「寒くなってから考える」ではなく、「気づいた今」が見直しのタイミングかもしれません。

この記事を監修した人

高須 康太郎
豊安工業株式会社 第2プラント管理部
資格:管工事施工管理技士 1級
得意分野:給排水衛生設備工事
製造業を中心とする食品工場や自動車部品工場、中小企業から1部上場企業まで幅広いクライアントの建物の改修や新築工事における給排水衛生設備工事を多く経験している。社内での教育活動やお客様向けの勉強会においても、その専門知識を活かし給排水衛生設備工事について指導している。




