温調機の正しい運用方法とは?冷却トラブル対策と配管施工の注意点で製品品質を安定化

最近、夏場になると温調機が異常停止してしまうことがあって…
温調機の温度が安定していないのかもしれませんが、具体的に何を見直せばいいのか原因が分からないです。

それは温調機の冷却性能が原因の可能性があります!特に夏場は外気温が高く、クーリングタワーの冷却水温が上がりやすいため、温調機本体の冷却が追いつかずに機器への熱媒体温度が不安定になりがちです。

なるほど、それで装置の温度が一定に保てなかったんですね。
冷却方法を見直せば、安定稼働につながりそうです!

その通りです!温調機の適切な運用と定期メンテナンス、配管設計の見直しでトラブルを未然に防ぎ、製品品質を安定させましょう。

目次

温調機の役割と温度制御が製品品質に与える影響を理解することで、適切な運用の重要性が見えてきます。

温調機は、タンク内で加温・冷却した熱媒体(オイルや水など)を循環させることで、対象機器の温度を一定に保つ装置です。

加温には約30℃~300℃、冷却には約5℃~25℃といった幅広い温度帯が選択でき、機器や製品の用途に合わせた運用が可能です。
特に、精密な温度管理が必要な成形機や射出機などでは、温調機の性能が製品品質の安定化に直結します。

温調機は製造分野に留まらず、空調設備での使用や恒温槽を必要とする研究施設などでも幅広く使用され、様々な用途で使用されています。
いずれにしても設定した温度を維持し続けることを目的とした装置となります。

温調機の加温・冷却の仕組みと、各構成要素の働きを理解することで、効率的な運用とトラブル防止につながります。

温調機はヒーターで熱媒体を加温したり、チラーで熱媒体を冷却したりする役割です。

加温・冷却された熱媒体は配管を通じて対象機器へ循環し、使用後はタンクに戻され、再び加温・冷却を繰り返します。

内部には熱交換器があり、これが冷却水と熱媒体の間で熱を移動させる要となります。ただし、長期間使用すると熱交換器の能力が低下しやすいため、定期的な洗浄を推奨します。

写真は実際に温調機の熱交換器を洗浄しています。
長期間使用していると熱交換器内部にスケールが付着し、冷却能力の低下が起こります。

能力が低下することにより、エラーによる緊急停止の発生、さらには温調機本体の寿命を縮めることになります!
温調機内部の熱交換器を定期的に洗浄することで、品質の安定だけでなく、温調機本体の保護にもつながるため重要な作業です。

熱交換器の洗浄

気温が高くなる季節には、クーリングタワーで温調機本体の冷却を行っている場合、温調機の冷却能力が追いつかず、トラブルが発生しやすくなります!注意すべきポイントを解説します。

夏場になるとクーリングタワーの冷却水温が上昇し、温調機本体の冷却が不十分になるケースがあります。

その結果、温調機が高温異常で停止したり、熱媒体温度が不安定になり、生産機器の温度制御が乱れることがあります。

このような原因で製品の品質がばらついたり、生産停止のリスクも高まるため、冷却方法の見直しが必要になります!

温調機の冷却不良や温度不安定を回避するための具体的な対策を紹介します。

冷却水温が安定しない場合、温調機本体の冷却をクーリングタワーからチラーに切り替えることで、一定温度での冷却が可能になります。

また、熱媒体の温度によっては配管に結露や放熱が生じるため、保温材の取付けも効果的です。
さらに、配管詰まりによる循環水量の低下を防ぐために、定期的な薬品洗浄や適切な配管材の選定も重要なポイントです!

設備トラブルを防ぎ、安定運用に成功した事例をもとに対策の効果を紹介します。

問題点

ある工場では、夏場に温調機の高温異常でライン停止が頻発し、原因はクーリングタワーの冷却水温が上昇していたことでした。

一時はクーリングタワーに常時飲料水を補給する形で使用していましたが効果があまりなく、夏場の特に暑い日になると温調機本体のエラーが頻発する事態となっていました。

改善点

そこで、温調機本体の冷却をチラー方式に変更し、常に一定温度で冷却できるように改善し、配管内の循環水量低下を防ぐため、薬品洗浄と保温材の設置も実施しました。結果として、ラインの停止回数はゼロとなり、製品の歩留まりも向上しました。

温調機本体を温調機(チラー)で冷却するというのは一見意味のないように感じるかもしれませんが、多く取り入れられている運用方法となります。

  • メリット
    外気温に影響を受けず安定して温調機の冷却が可能
    クローズ回路となるため配管の寿命が延びるなど
  • デメリット
    外気温が低い冬場にもチラーの運転、チラーのオーバーホールも必要
    チラーが故障すると温調機の停止のリスクも伴う

デメリットを補うために夏場はチラーで冷却し、冬場はクーリングタワーで冷却するというハイブリッド運用を行うケースもあります!

お客様の声

夏場の、特に暑い日になると温調機が異常停止してしまうことがよくありました。エラーのコードを調べてみると冷却水異常と出ていて、クーリングタワーへ飲料水を常時補給することで誤魔化しながら使用をしていましたが、根本的な解決にはならないと判断し、改善依頼をしました。
チラーを使用して温調機本体を冷却する運用方法に変更したことで夏場の異常停止はなくなり、安定生産に繋がったと感じています。

定期的に温調機本体の熱交換器の洗浄をしてもらい、他の異常停止の頻度も減りました。
総合的に見て安定生産につながったと実感しています!

Q
温調機の冷却にクーリングタワーだけでは不十分ですか?
A

夏場はクーリングタワーの水温が上昇しやすく、冷却能力が落ちるため、チラーとの併用がおすすめです。

Q
温調機の寿命を延ばすためのポイントは何ですか?
A

熱交換器の定期洗浄、配管の薬品洗浄、冷却系の温度管理を行うことで長寿命化が期待できます。

Q
温調機の冷却水が結露するのはなぜですか?
A

周囲温度との差が大きいと配管表面に結露が発生します。保温材で断熱することで防止可能です。

温調機の冷却と配管に今こそ目を向けてみませんか?

温調機は、成形装置や生産設備の温度を一定に保つ重要な装置で、運用状況は製品品質に直結します!

特に夏場は冷却水温の上昇による高温異常や品質トラブルが多発するため、冷却方法の見直しや配管施工の品質向上、定期メンテナンスが欠かせません。
熱媒体の温度帯に応じた配管材の選定や、結露・火傷対策として保温材の活用も重要になります。

現場合った改善を重ねることで、安定稼働と品質向上へとつながる設備運用への第一歩です!

この記事を監修した人

伊藤 洋陽

伊藤 洋陽

豊安工業株式会社 プラント管理部1課 係長
資格:給水装置工事主任技術者
得意分野:プラント配管工事及び給排水衛生設備配管工事

工場や事務所の改修・修繕・改善工事を中心に、施工管理や配管設備の営業に従事。配管および付帯機器の選定に関する知識を備え、現場での実践力を磨いてきた。特に自動車部品製造工場の工事を得意とし、お客様のニーズに柔軟に対応している。

工場ペディア監修

こんな時どうしたらいいの?これを見たら対処方法がわかる

対応エリア

工場のお悩み解決は、
豊安工業にお任せください

【対応エリア】
名古屋市、愛知県西三河地区(豊田市、岡崎市、碧南市、
刈谷市、安城市、西尾市、知多市、高浜市、みよし市、額田郡幸田町)など

お電話でのお問い合わせ

080-8514-9308平日 8:30 - 17:30