停電時・災害時のBCP(事業継続計画)対策!非常用小型発電機を使用して災害時、停電時の電気を部分的に供給する

工場のBCP対策として、自家発電設備の導入を検討しています。
工場全体の電力需要をカバーするには、どのくらいの容量の発電機が必要かを知りたいです!

工場全体をカバーするには巨大な発電機が必要になり、導入や維持コスト面でオススメできません。
その代わり、必要な機器だけを動かすための”非常用小型発電機”という選択もありますよ!

そうなんですね。非常用小型発電機というのはどういったものですか?
小型なら蓄電池でも代わりになりませんか?

停電時に重要な機器を一時的に稼働させるための発電機のことで、蓄電池よりも大きな電力供給能力があります。
停電したときに稼働する点では同じですが、それぞれメリットデメリットがあるのでご説明しますね!

目次

照明の確保で従業員の安全につながる

工場における事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)では、電源の確保が重要なポイントになります。
災害などによる停電に備えて、非常用小型発電機を導入しておくことは有効な対策の一つです。

非常用小型発電機は、災害時の停電では、範囲が広すぎて対応できませんが、計画停電時にどうしても部分的に生産を維持したり、加熱しているものを保持したりするうえで役に立ちます。

また、照明やセキュリティなどの安全設備を稼働させることで、従業員の安全を確保すること、特に夜間や災害時には、照明が確保されていると避難経路が明瞭になり、迅速で安全な避難につながります。

照明、セキュリティ面で稼働を続けられるのは安心・安全です。
非常用発電設備はBCP対策として非常に有効な方法なのですね!

工場で確保すべき非常電源は、大きく分けて蓄電池と発電機の2種類があります。
非常灯やパソコン程度の使用であれば蓄電池で十分に対応できますが、生産設備のように大きな電力を使う設備には発電機が必要です。

1、蓄電池

蓄電池は、電力を蓄えておき、停電時に一時的に電力を供給する装置です。
一般家庭用と産業用があり、産業用は大容量で長時間使えますが、非常に高額になります。
スマートフォン用のモバイルバッテリーも、蓄電池の一種です。

2、発電機

発電機は、燃料によって動き、電力を生み出す装置です。
ディーゼルエンジンやガスタービンエンジンを用いたものが多く、長時間の運転にも対応できます。

  • 常用型発電機
    デマンド対策やピークカットを目的とした日常運用
  • 非常用発電機
    災害や停電時に使う緊急用設備

このうち、非常用として限られた設備に電力を供給する10kVA〜50kVA程度のものが「小型非常用発電機」です。

  • 防災専用
    消防設備などの防災機器への電力供給
  • 防災および保安兼用
    防災に加え、冷蔵・冷凍装置など保安機器も対象

必要な発電能力は、どの設備を停電時に動かすかによって決まります!
例えば、冷蔵設備、保温設備、一部の制御盤、電話機器、インターネット通信環境、サーバーなどの稼働が対象になります。

非常用小型発電機の導入においては、法的な対応が必要になる点を見落とさないことが重要です!
工場で発電機を設置・運用する場合、主に以下の法律に基づいて届出や点検の義務があります。

発電機は「電気工作物」として扱われており、適切な管理・維持が義務付けられています。
特に、出力が10kW以上の発電設備では、電気主任技術者の選任と届出が必要です。

病院や学校、大型商業施設に加え、一定の基準に該当する工場建屋にも非常用発電機の設置が求められます。
建物の所有者や管理者は、建築設備を常に適法な状態で維持する義務があります。
非常用発電機については、これらの条件が必要です。

  • 40秒以内に起動すること
  • 30分以上連続運転できる状態を維持できること

消防用設備の非常電源としての位置づけがあり、特定建築物(工場・病院・学校など)には設置義務があります。
導入時には、管轄の消防署への届け出が必要です。

義務付けとして

  • 年2回の法定点検を行うこと
  • 6カ月ごとの機器点検を行うこと

これらの法令に従うことで、非常時にも安全に発電機を機能させる体制が整えられます。

工場における小型非常用発電装置の導入には、いくつかのメリットとデメリットがあります。

  1. 停電時のバックアップ電源として
     商用電源が停止した際、自動的に起動して電力を供給し、重要な設備や生産ラインの停止を防ぎます。
  2. 防災対策としての効果
     災害時の停電でも必要な電力を確保でき、照明やセキュリティ設備の稼働を通じて従業員の安全を守れます。
  1. 初期導入コストがかかる
     発電装置の購入・設置にはまとまった費用が必要になります。
  2. メンテナンスが必要
     法定点検や定期的な負荷試験が義務づけられており、手間や維持費が発生します。
  3. 燃料の管理が欠かせない
     長期間使用しない場合でも、燃料の劣化を防ぐために定期運転や補充が必要になります。
  4. 騒音・排気ガスへの配慮
     稼働中は音や排気が出るため、設置場所や周辺環境に応じた対策が求められます。
  5. 使用年数に限りがある
     国土交通省の基準では、適切なメンテナンスを行えば約30年使用できるとされていますが、設置環境や維持状況によっては、それより早く更新が必要になることもあります。

1、瞬間停電(瞬停)には対応できない

非常用発電機は起動に時間がかかるため、瞬間的な電圧低下や瞬停には対応できません。
こうした場面では、UPS(無停電電源装置)との併用が効果的です。

2、省エネや電気代削減にはつながらない

非常用発電機は緊急時用に設計されており、通常運転で使うには発電効率が低くなります。
常用することは、増エネ・増CO2となり、環境的にも排気ガスが発生するため、良くありません。

■機種選定・現地調査

目的や使用機器に合わせて、容量計算・設置条件・燃料タイプを踏まえた最適な機種を提案します。
その後、設置予定地のスペース・配線経路・騒音対策などを確認し、施工条件を整えます。

金額の提示

設置費用を含めたトータル金額をご提示します。

申請、導入工事

必要な申請や導入までのタイムスケジュールをご提出し、承認後、設置導入工事を開始します。

■試験

設置後は負荷試験などの動作確認を行い、非常時に正しく稼働するかチェックします。

■メンテナンス

オイル・フィルター交換、バッテリー点検などの保守計画を立て、長期にわたって安定運用を維持します。

この一連の流れにより、非常時に備えた安心・確実な電源対策を実現できます!
非常用発電機の導入は、機種選定から申請・施工・メンテナンスまで一貫で対応しています。
ご検討の際は、ぜひ豊安工業へご相談ください!

Q
発電機の種類や燃料はどう選べばよいですか?
A

非常用発電機には、ディーゼル(A重油)タイプとガス式があります。ディーゼルは信頼性が高く、ガス式は排出ガスが少ないため環境面で優れています。
また、設置場所は屋外や専用機械室が基本で、風通しがよく排気しやすい場所を選びます。
騒音が気になる場合は、防音カバーや防音材の使用、低騒音型の機種選定をすることで軽減されます。

Q
発電容量や連続運転時間はどれくらい必要ですか?
A

必要な発電容量は、稼働させたい機器の種類や数によって異なります。
弊社にて現地調査・容量計算・機種選定を実施しています、お気軽にお問い合わせください。
連続運転時間は機種によりますが、燃料を確保すれば24時間以上の運転も可能になります。

Q
燃料の管理や保存期間に注意点はありますか?
A

ディーゼル燃料は通常6ヶ月〜1年程度の保存が目安ですが、劣化を防ぐために定期的な入れ替えや点検が必要です。長期保存を前提とした運用には、保管環境の管理や燃料の循環使用も検討が必要です。

Q
点検や試運転はどれくらいの頻度で行うべきですか?
A

安定稼働のために、月に一度の試運転と点検、年に一度の詳細なメンテナンスが推奨されます。定期的に状態を確認することで、非常時に確実に動作させることができます。

Q
導入にはどれくらいのコストがかかりますか?
A

発電機の容量・種類・設置条件によって異なりますが、一般的には数百万円〜数千万円程度の費用がかかります。詳細なお見積もりは現地調査の上でご提示いたします。

工場のBCP対策として非常用小型発電機も有効です!

非常用小型発電機は、BCP対策としての1つの手法(アイテム)です。

緊急時の安全対策や計画停電時にどうしても部分的に電気供給が必要な場合に有効です。
ただし、導入する目的とデメリットを理解することは、導入する上で大変重要となってきます。デメリットのほうが大きいと考えがちですが、目的次第によっては十分なメリットがあると考えます。

これから導入を検討される場合は、BCP対策のメイン手法とは別で、1つの手法(アイテム)として導入を検討してみてください!

この記事を監修した人

中村 裕正

中村 裕正

豊安工業株式会社 プラント管理部兼営業部 部長
資格:1級管工事施工管理技士
得意分野:管工事全般

2002年の入社以来、自動車部品製造工場を中心に、営業から施工管理まで幅広く対応。管工事全般に精通し、長年にわたり現場改善や不具合対応に実績を積んできた。さらに、社内ショールームのエアーブース部門を手掛けるなど、設備提案におけるリーダーシップを発揮している。

工場ペディア監修

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