ガバナの定期点検・分解点検はなぜ必要?安全を守るための基礎知識と点検方法

最近ガバナの劣化やトラブルの話を聞くんですが、正直うちではほとんど点検してないんです。何か問題になりますか?

ガバナはガス供給の要です。劣化を放置すると、ガス漏れや供給不良を引き起こすおそれがあります。最低でも年1回の点検と、6年ごとの分解点検が望ましいですよ。

そんなに頻繁に必要なんですね……。でも設備を止めずに点検できるなら助かります。

はい。最近では、機器を取り外さずに整備できるサービスもあります。早めの点検が、将来的な事故やコスト増を防ぐカギになります。

目次

ガバナは、ガス設備の心臓部ともいえる重要な機器で、適切な圧力でガスを供給する役割を担っています。
しかし現場では、設置後に点検されないまま使用されているケースも少なくありません。
劣化に気づかずに使用を続けると、ガス漏れや機能不全、最悪の場合には事故につながる恐れもあります。

ガバナの内部には、ゴム製の部品が使用されています。これらは年月とともに確実に劣化し、密閉性の低下によるガス漏れのリスクが高まります。

さらに、供給圧力の変動や遮断機能の不良が発生すると、設備全体に悪影響を及ぼす可能性もあります。

こうしたリスクを未然に防ぐには、定期的な目視点検と圧力確認が重要です。

ガバナは、ガスの圧力を適正値に下げ、安定供給を行うための減圧装置です。
各設備やラインごとに必要な圧力・流量が異なるため、個別に設置されることが一般的です。

ガバナは、以下の構成要素によってガスの圧力制御と安全機能を実現しています。

  • ガス入口/出口部:ガスの流入と供給経路
  • 減圧機構(スプリング・ダイヤフラム):圧力を調整
  • 遮断機構:異常圧時にガスを遮断する安全装置
  • ゴム製ダイヤフラム部品:圧力変動を検知・制御(劣化しやすい部品)
使用中ガバナ

このような仕組みがあるため、各構成部品の劣化による影響は非常に大きく、放置は厳禁です!

多くの工場では、ガバナが設置されたまま十数年にわたって使用され、メンテナンスが行われていないケースも珍しくありません。

目に見える不具合が出にくいため、つい見落とされがちですが、実はこれこそが最大の落とし穴です。

劣化したゴム製ダイヤフラムが破損すると、ガスの制御が効かなくなり、圧力異常やガス漏れの原因になります。

実際に、供給圧力の急変によってバーナーが不安定になったり、ガス警報が作動するなどのトラブルも報告されています。

特に、ガスの種類や使用環境によっては劣化が早まることもあるため、注意が必要です。

旧新部品の比較
古い方は劣化しています
分解時写真

ガバナの健全性を保つには、定期的なチェックが欠かせません。最小限の点検でも、大きな事故の回避につながります。

年1回の目視点検を実施

  • 外観に異常や腐食がないかを確認する
  • 圧力計で供給圧・閉止圧をチェックする

6年ごとの分解点検を実施

  • 内部のゴム製部品やスプリングの劣化状況を確認する
  • 劣化が確認された場合は、部品を交換する

15年以上使用しているガバナは交換を検討

  • 経年劣化による不具合のリスクが高まるため、安全の観点から交換が推奨される

最近では、機器を取り外すことなく整備が可能なサービスも登場しており、設備の停止時間を最小限に抑えることができます。

愛知県刈谷市 鋳造製造工場工場様

問題点

ある製造工場で、エアーや水配管の機器の点検・整備は実施しているが、ガス配管は何か点検することはないか依頼を受けガバナを目視で点検したところ、設置後15年以上使用され供給圧力が不安定になっていることが判明しました。

そこで、早急に分解点検を実施した結果、内部のダイヤフラムが劣化し、機能が低下していたことが明らかになりました

改善内容

この工場では、異常を早期に検知できたことによりガバナの取替を実施し、工場内には数多くのガバナが設置させており、取付位置を把握し計画的に点検・整備を実施しました。

その結果、ガス漏れや設備停止といった重大なトラブルを未然に防ぐことができ、重要なラインに関しては、万が一に備え並列設置を行いました。

お客様の声

生産ラインの稼働に影響を与えることなく、計画的にメンテナンスを完了してくれて良かったです。

Q
ガバナの点検は誰が行えばいいですか?
A

 設備保全担当者による目視確認も有効ですが、専門業者による圧力測定・分解点検が推奨されます。

Q
点検にはどのくらいの時間がかかりますか?
A

目視点検は30分程度、分解点検は状況により2〜4時間ほどです。
ラインを止めずに対応可能なケースもあります、お気軽にお問い合わせください。

Q
分解点検時に必ず部品交換が必要ですか?
A

 消耗部品(ゴム製品など)は基本的に交換が推奨されます。状態により判断されますが、劣化が見られた場合は早めの交換が安全です。

工場の安全運転を支えるためには、目に見えない劣化や機器の老朽化にも確実に目を向けることが不可欠です。
中でもガバナは、日常のガス供給を安定させる重要な装置でありながら、見落とされがちな存在です。

年1回の目視点検、6年ごとの分解点検、15年経過での交換といった基本的な管理ルールを設けるだけでも、事故リスクや設備トラブルを大幅に軽減することが可能です。

ぜひこの機会に、ガバナの点検体制を見直し、安全かつ安定した設備運用を実現してください。

この記事を監修した人

川澄 恵一

川澄 恵一

豊安工業株式会社 プラント管理部2課 主任
得意分野:プラント配管工事

工場や事務所の改修・修繕・改善工事を数多く担当し、現場での経験を積み重ねてきた。配管および付帯機器に関する深い知識と実践力を活かし、自動車部品製造工場をはじめとする多様な現場で高品質な施工管理を行っている。

工場ペディア監修

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