炭酸ガス中和装置のメンテナンス完全ガイド!排水基準を守り効率運用を実現

炭酸ガス中和装置を設置してからほとんど手をつけていないのですが、これってメンテナンスが必要でしょうか?

中和装置には定期的なメンテナンスが必要です!
メンテナンスをせずに運用していると、排水処理が適正に行われず、基準を満たさない排水を流してしまう危険性や、装置停止のリスク、処理用炭酸ガスの無駄遣いが発生することがありますよ。

そうなんですね、排水基準に影響するのは困ります…
どのようなメンテナンスが必要なのか詳しく教えてもらえますか?

もちろんです!
この記事では、中和装置のメンテナンスの重要性や手順について分かりやすく解説していきます中和装置の適切な運用にお役立てください。

目次

運用トラブル・炭酸ガスの無駄な消費を防ぐために

炭酸ガス中和装置は排水処理に欠かせない設備ですが、意外とメンテナンスが行われていないケースが多く見られます。メンテナンスを怠ると、排水基準を満たさない排水が流れる可能性や、装置の停止による運用トラブル、さらには炭酸ガスの無駄な消費といったリスクが生じます。
今回は中和装置のメンテナンスの重要性や、具体的な手順について解説していきます。

1.排水基準を満たさないリスク

排水の適切なpH調整ができず、基準を超える排水が流れる可能性があります。

2.装置停止による排水トラブル

中和装置が異常停止すると、排水処理そのものができなくなります。

3.炭酸ガスの無駄遣い

メンテナンス不足で装置が正しく機能しない場合、炭酸ガスが過剰に注入され、基準を超える排水が流れるだけでなく、炭酸ガスの無駄遣いにもつながります。

炭酸ガス中和装置は、排水のpH値を調整するための設備です。
酸性排水に炭酸ガスを供給し、中和反応を起こしてpHを中性付近に調整します。これにより、排水基準をクリアし、環境への影響を最小限に抑えることができます。

  1. ポンプで排水槽から排水を汲み上げる
  2. pH電極で汲み上げた排水のpH値をリアルタイムで測定する
  3. 炭酸ガス供給システムで、pH電極の測定値に基づき適正量の炭酸ガスを排水に注入し、pHを調整したうえで排水する

中和装置のメンテナンスを怠ると、重大なトラブルにつながることががあります。

1、排水基準を満たさないトラブル

中和装置を2年間メンテナンスせずに使用した結果、pH電極の汚れによってpH値が正確に測定できなくなりました。
結果として排水基準を満たさない排水が流れ、行政指導を受け、改善命令が出される事態になりました。

2、装置の停止による排水トラブル

装置内部のポンプ軸受の劣化に気付かずに運転を続けたため、軸受がロック。
結果として装置が停止し、排水処理が行えない状況が発生、これにより、工場の生産ラインが一時的に停止するトラブルに発展してしまいました。

3、炭酸ガスの無駄な消費

メンテナンスを怠り、炭酸ガス供給システムの流量調整バルブが不適切な状態で運用されたため、炭酸ガスが必要以上に消費される状況になりましたら。結果、ランニングコストが増加してしまいました。

中和装置を適切に運用するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
お客様ご自身で定期的に点検することと、最低でも年に一度はプロによる点検をおすすめします。

1.pH電極の清掃

装置からpH電極を取り外し、清掃します。電極は薄いガラスでできているため、柔らかい布やスポンジを使用して優しく清掃してください。清掃することでpH電極が正常に作動し、検知の応答性が向上します。

2.ストレーナーの清掃

ストレーナーメッシュを清掃し、処理水量を正常化します。

3.炭酸ガス圧力、処理水量の確認

炭酸ガスの残量や、減圧後の圧力が適正かを確認します。また、運転中にポンプに異音がないか、処理水量が適切かを点検します。

1.pH電極の清掃、校正、交換

pH電極を清掃し、pH標準液を用いて校正します。pH電極の交換時期は1年なので、年に1度の交換を推奨します。

2.ストレーナーの清掃

ストレーナーメッシュを清掃し、処理水量を正常化します。

3.試運転と調整

装置を運転させ、中和水の処理水流量や炭酸ガス圧力、注入量を確認し、適切に調整します。

ストレーナーの清掃前
ストレーナーの清掃後

メンテナンスを実施することで、装置の稼働状況が大幅に改善された具体的な事例を紹介します。

現状の問題点

精度が低下したpH電極が原因で、中和処理が不安定になり、排水基準を満たさない状況が頻発していました。

改善内容

電極の清掃と校正を実施し、正確なpH測定を回復。また、ストレーナーを清掃して水流量を正常化し、各所の調整を行いました。

結果

排水基準をクリアし行政指導が解除、さらに、ランニングコストの削減にもつながりました。

お客様の声

今までメンテナンスを行った事がなく、排水基準の面でも不安定な運転状況でした。
今回のメンテナンスで、稼働状況も改善されてとても良かったです。

現状の問題点

ガス供給の流量調整バルブと圧力調節器の不具合により、必要以上に炭酸ガスを注入していました。

改善内容

バルブ調整と供給圧力の最適化を実施。試運転を行い、ガス供給量を正確に調整しました。

結果

ガス消費量を20%削減し、年間のコストを削減できました。

お客様の声

いつの間にかガスの消費量が増え、ボンベの交換頻度が上がっていたので稼働に不安がありました。
メンテナンスによってコスト削減も実現できましたし、何より不安が解消できました。

メンテナンスをきちんと行うことで、目に見えないトラブルを解消し、コストを大きく削減することができます!

Q
pH電極の清掃や交換はどのくらいの頻度で行うべきですか?
A

 排水の状態によりますが電極の清掃は月に1回程度が目安です。

Q
メンテナンスのタイミングをどう決めれば良いですか?
A

装置の使用状況に応じて定期的な点検スケジュールを計画し、年に1度はプロによる点検を実施しましょう。

Q
メンテナンスにはどのくらい時間がかかりますか?
A

メンテナンス時間は、1台の場合半日で完了します。

メンテナンスで排水基準とコスト削減を両立

炭酸ガス中和装置は、排水処理の要ともいえる重要な設備です。排水は目視では基準を満たしているか判断できません。

定期的なメンテナンスを怠ると、装置が正常に動いているように見えても、実際には排水基準を満たしていないこともあります。
さらに、装置の異常停止を引き起こすリスクもあるのです。

この記事を参考に、ぜひ定期的なセルフメンテナンスとプロの点検を実施し、重大なトラブルを未然に防ぐことが重要です。
トラブルやエネルギー消費の無駄を削減させて、安定的な工場運営を目指しましょう!

牧原 大嗣

牧原 大嗣

豊安工業株式会社 メンテナンス部メンテ課
資格:ボイラー整備士、一級ボイラー技士、一級管工事施工管理技士、第二種電気工事士
得意分野:ボイラー、燃焼機器全般

メンテナンス部でボイラーや圧力容器の定期点検業務、配管工事に従事。
食品工場や化学工場などの多様な現場で経験を積み、ボイラーや燃焼機器の整備・修理において豊富な知見を有する。

工場ペディア監修

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