ボイラーの電気伝導率の管理!ボイラーの遠隔監視で長寿命化と効率的な管理を実現するには?

ボイラーを長持ちさせたり効率よく使うにはボイラー水の品質管理が重要と聞きました。具体的に何をすればいいですか?

ボイラーの寿命を縮める原因は、水質悪化によるスケールの付着や本体の腐食の進行があります。
特に腐食を防ぐためには、電気伝導率の管理が重要となります。

たしか、電気伝導率の管理装置は付いている気がしますが…値を気にしたことがないですね。こんな運用で大丈夫でしょうか?

機械任せにせず定期的に電気伝導率の値を見て、水質管理方法が適切かを見直す必要があります。
後付けできる「かんたんIoT」で電気伝導率を監視する方法がありますので、そちらをご紹介しましょう。

目次

水質管理はボイラーの寿命を保つために非常に重要

水質の変動を早期に発見し、適切に管理することで、ボイラーの効率を維持し、腐食やスケールの問題を防ぐことができます。

ボイラーの水質管理項目のひとつに、「電気伝導率」があります。
電気伝導率の管理とは、水中のイオン濃度を示してスケールや腐食のリスクを評価することで、具体的には電気伝導率を測定して数値を適切な範囲に保つためにブロー(排水)を行うことです。

ボイラー水質管理の重要性とIoTシステムの活用

ボイラー水の電気伝導率はJIS規格などで管理基準が定められており、これを遵守することでボイラーの長寿命化と効率的な運転が可能となります。
一般的には、電気伝導率の測定とブローを自動で行う装置を設置し、濃度管理を行います。

しかし、このような装置はあくまでボイラー水の濃度を維持するだけで、電気伝導率の変化履歴が残らないため、トラブルが発生した際の原因追及の判断材料とはなりません。
日常のボイラー管理の適正判断や、水に起因するトラブルの予防・予知、また管理装置そのものの故障の早期発見のためには、IoTシステムを用いて記録を取ることが有効な解決方法となります。

簡単なIoT導入で製造現場の遠隔監視を実現

かんたんIoTとは、工場や製造現場での遠隔監視やデータ収集を簡単に行うためのIoTゲートウェイ「PUSHLOG」を利用したIoTソリューションのことです。
現場にいなくても、インターネットを通じて機器の状態をリアルタイムで遠隔監視できます。
収集したデータはグラフなどで可視化され、省エネ分析や保全対策を推進します。

運用までの簡単4ステップ

  1. 簡単な設置:専門知識が不要で、短時間で設置が完了
  2. 多様なセンサー対応:アナログ信号をデジタルに変換し取り込むため、既存のセンサーも利用可能
  3. クラウド監視:データをクラウドに記録し、遠隔でリアルタイムに監視できる
  4. 予知保全:グラフによるデータ分析で、設備の故障予知や効率的なメンテナンス計画が可能

かんたんIoTを導入することで、手作業による管理の手間と負担を大幅に軽減しながら、予防保全、予知保全の手助けが期待できます。

今回は、ボイラー水の電気伝導率の管理装置「アクアスマイガード」に「かんたんIoT」を接続した管理事例を紹介します。

アクアスマイガードはアクアス株式会社が販売しているボイラー水の管理装置で、電気伝導率の管理が効率的に行え、腐食やスケールの防止、管理コスト削減に寄与する機器です。マイガードに限らず、このような装置は弊社で導入するボイラーには必ず設置しています。

この管理装置は主に以下の機能を備えています

  • 電気伝導率の測定: ボイラー水の電気伝導率を常に自動で測定します。
  • 自動制御: 適切なブロー(排水)を自動で行い、水の濃度を一定範囲に保ちます。
アクアスマイガード本体

アクアスマイガードからは計測した電気伝導率がアナログ信号で出力されるため、「かんたんIoT」へ取り込むことができます。管理装置単体ではわからない24時間365日の推移を記録する機能を、簡単に追加することができます。

信号端子

記録した電気伝導率はグラフで可視化されるので、推移が一目でわかるようになりました。
グラフなら異常値が見つけやすく、またいつ異常が起きたのか、異常の前後の状態もわかるため、簡単に原因分析ができます。

今回、同時に水温(ドレン水)も測定しており、それをグラフに重ね合わせた表示も可能です。
このように、相関関係のある項目の比較も簡単にできます。

このほか、リアルタイムの計測値表示、しきい値によるアラームメール機能、複数の管理者のログイン対応など、工場での管理業務に必要な機能を多数備えています。すでに電気伝導率測定機器が導入済みであれば、「かんたんIoT」を後付けするだけで、すぐにIoT計測がスタートできます。既存の計測装置に後付けできるのが、「かんたんIoT」の最大の特徴です。

Q
かんたんIoT(アナログ信号対応)の導入費用はどれくらいですか?
A

基本機能(アナログ信号4点入力)の本体価格が28万円です。センサー代と工事費は別途となります。

Q
ボイラー以外の水質管理にも対応していますか?
A

はい。水質に限らず一般にアナログ信号と呼ばれるものであれば、すべて記録することができます。例えば、以下のようなシーンが考えられます。
・設備や製品の温度変化
・水位の管理
・エアーや水、蒸気の圧力の管理
・タンク水量の変化
・水量やエアーの流量
・電流値や電圧

Q
計測した値の記録をさかのぼって確認することはできますか?
A

はい。可能です。
クラウドに計測時間とともに値が記録され、グラフで簡単にさかのぼって確認ができます。
発生タイミングがわからない異常も、グラフから発生傾向を見つけて原因究明や対策などトラブルシューティングができます。

Q
ITやDXに疎いので使いこなせるか心配です。
A

かんたんIoT(PUSHLOG)はWEBブラウザですべての操作ができるのでとても簡単です。
ITやDX(デジタルトランスフォーメーション)に対する特別な準備や高い知識を必要とせず、普通にお使いいただけるシステムです。

お役立ち資料ダウンロード

かんたんIoTシリーズ
かんたんIoTシリーズ ~届いたその日に、IoTスタート~
さまざまな計測センサーを手軽にIoT化する「かんたんIoTシリーズ」のリーフレットです。
かんたんIoT水流量
水・液体の流量をクラウド計測するIoTシステムのリーフレットです。
簡単IoT電力計測
電力をクラウド計測するIoTシステムのリーフレットです。

簡単導入でボイラーの予防保全を強化

かんたんIoTは、工場や製造現場での遠隔監視とデータ収集を容易に行えるIoTソリューションです。

ボイラー水の電気伝導率の管理装置にかんたんIoTを接続すれば、リアルタイムでの監視と24時間365日のデータ記録が可能になり、予防保全や予知保全を手助けすることができます。電気伝導率を適切に管理し、腐食やスケールの発生を予防することで、ボイラーの寿命を延ばし、管理コストを削減します。

既存の測定機器にかんたんIoTを後付けするだけなので、短期間・低コストで工場全体の運用効率を高め、トラブル予防や装置の故障の早期発見を実現することができます。

この記事を監修した人

岩田 吉弘

岩田 吉弘

豊安工業株式会社 設計部システム室
資格:第二種情報処理技術者試験、初級システムアドミニストレータ試験
得意分野:IT関連

2012年より遠隔監視システムの導入工事を通じてIoTによる工場管理システムの可能性を発見。2019年からは工場向けIoTソリューションの開発を担当するプロジェクトマネージャーとなり、自動車関連の中小企業の工場の運用を効率化することに貢献している。